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キャノーラ油の起源と、もしかしたらすごい貢献度:日経ビジネスオンライン ビタミンAが不足して夜盲症を患ったり、子どもが麻しんなどの感染症にかかりやすくなる問題は、発展途上国では今でも解決すべき課題だ。なんらかの形でビタミンAを摂取してもらう必要があることははっきりしているため、それに沿った戦略が立てられている。その知見をもたらした介入研究に至るまでの一連の成果は、研究者として美しさと力強さを兼ね備えた疫学研究のお手本のように見えるものらしい。関心があって読み解いてみたい人は、ご自分で探求してみるといいかもしれない。
 一方で、日本の「ビタミンB1と脚気」のエピソードは、まだビタミンB1という栄養素が認識されていなかった時代に、海軍では麦飯を糧食として導入することで脚気の予防に成功したという話だ。日露戦争において、陸軍が25万人もの脚気罹患者を出した一方で、海軍は罹患をほぼ封じ込めた。主導した海軍軍医総監の高木兼寛自身は、脚気の原因を「窒素成分の不足」と考えていたようだが、それもまた印象深い。本質的な栄養素が特定されずとも、介入可能な食事の改善によって予防に成功した事例が、「日本の初期の疫学研究」としてよく言及されること自体、実用科学である疫学の性質を物語っている。
「私も調べて知ったんですが、キャノーラって、CANadian Oil Low in Acidの略なんですよ。カナダの研究者が、エルカ酸が少ないスカンジナビア系のアブラナを輸入してきてブリーディングに成功し、その品種で作った油をキャノーラと名づけて、北米に普及させたんです。インドの疫学研究は質が高くなかったんですが、キャノーラオイルが普及したこともあって、その後、さらに研究する人はいませんでした。忘れられていたと言ってよいと思います。私はポスドクの時に、体内にあるいろいろな種類の脂質をひとつひとつ扱うのではなく、そのパターンがどう影響するかという研究をしていました。その研究を終える頃、面白い昔話があるエルカ酸にも着目して検討してみようと決めました。そして疫学的に何十年も前の仮説を支持する結果が出たというわけです」
 なお、今、「エルカ酸+キャノーラオイル」で検索すると、「キャノーラオイルの危険性を告発する」というようなウェブサイトを多く見つけることができる。遺伝子組換えや製法をめぐって「とにかく危険!」と主張するものが多いが、この研究のエルカ酸の話とはまた別のことだ。ここでは、検討しないけれど、いずれにしても今村さんの目には「質が酷く考慮に値するものではない」と映っていることは書き記しておく。
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