言語習得理論

秋スクーリング 4期H郡 12月9,10,16,17日
メディア授業 10月31日開始
、 学習報告書
■メディア授業学修報告書 課題
(課題)「なぜ学習者の誤用は重要だと考えられているのか説明しなさい。」「普遍文法理論の主張とその根拠について説明しなさい。」以上の2つについてレポートを作成してください。

※テキスト学習の方は上記のメディア授業学修報告書を作成する必要はありません。
■メディア授業学修報告書 提出条件
提出方法
: 直接入力
報告書の文字数
: 字数指定なし(システム上5,000文字まで)
報告書案
(課題)「なぜ学習者の誤用は重要だと考えられているのか説明しなさい。」
 1960年代からイギリスの言語学者コーダーによって、誤用の重要性が主張された。それ以前のオーディオ・リンガル法や対照分析研究では、「誤用は排除すべきものである」、「誤用は、母語と目標言語の違いから生まれる」と考えられていたが、コーダーは、「誤用は決して悪いものではなく、必然的に出てくるものであり、研究者と学習者と教師にとって重要である」とした。
 研究者にとっては、学習者の誤用の産出は学習者の学習困難点を探すことにつながり、誤用の変化は習得過程の解明につながり、誤用は「なぜ、そう言えないのか」「なぜ、そう間違えるのか」からその言語の規則解明につながるもので、誤用は重要である。
 学習者自身にとっては、学習者自身が立てた目標言語のルールの仮説を検証していることの証しであり、誤用を産出しながら習得を促進しているもので、誤用が重要である。
 教師にとっては、誤用によって学習者の現在地(何が分かって、何が分かっていないか)と、誤用原因の推測、そしてその対処の仕方、治療法、さらに予防法まで考えることができるので、誤用は重要である。

(課題)「普遍文法理論の主張とその根拠について説明しなさい。」
 普遍文法理論は、1960年代にチョムスキーが母語の習得に関して提唱した理論である。それ以前の行動主義心理学や構造言語学では「刺激と反応の繰り返しによって習慣が形成され、それが学習を生む」という考え方であり、外からの刺激、インプットが習得に直接結びつく要因だと考えられていた。しかし、チョムスキーは、英語圏において親からのインプットに含まれない誤用を子供が産出するとの研究から、従来の刺激と反応という考え方を否定し、人間の生得的に備わっている言語獲得装置すなわち普遍文法によって言語が習得されると考えた。
 普遍文法理論の根拠については、まずは「刺激の貧困性」があげられる。それは、学習者である幼児が接触する入力データには、言語習得に必要で十分な情報はないし、それを補充するための「否定的証拠」が与えられていない、という問題である。更に、幼児の周囲の親たちは、正確な文章を話すことは期待できず、幼児の学習用としては決して質がよくない、という問題もある。したがって、量の面でも質の面でも「不十分な刺激」から幼児が言語体系を習得するのは困難であるとし、幼児や言語学習者においては生得的に言語獲得装置が存在し、その言語特性が作用して学習が可能になるとチョムスキーは唱え、この言語特性を普遍文法と呼んだ。
 普遍文法理論では、さまざまな言語を習得する発達について、パラメータの考え方で説明している。最初はどの幼児も普遍原理と未設定のパラメータという状態であるが、親の言葉に触れることでパラメータが設定されていき、その後もさまざまな細かい規則が習得される段階をヘて個別の言語が習得されると考える。
1086文字
以下の内容で提出しました。
Q.1
(課題)
「なぜ学習者の誤用は重要だと考えられているのか説明しなさい。」
「普遍文法理論の主張とその根拠について説明しなさい。」
以上の2つについてレポートを作成してください。※テキスト学習の方は上記のメディア授業学修報告書を作成する必要はありません。
提出方法:直接入力
文字数:字数指定なし(システム上5000文字まで)
1: 1.なぜ学習者の誤用は重要だと考えられているかを説明する。
2:  1960年代からイギリスの言語学者コーダーによって、誤用の重要性が主張された。
3: それ以前のオーディオ・リンガル法や対照分析研究では、「誤用は排除すべきものである」
4: 、「誤用は、母語と目標言語の違いから生まれる」と考えられていたが、コーダーは、「
5: 誤用は決して悪いものではなく、必然的に出てくるものであり、研究者と学習者と教師に
6: とって重要である」とした。
7:  研究者にとっては、学習者の誤用の産出は、学習者の学習困難点を探すことにつながり、
8: 誤用の変化は、習得過程の解明につながり、誤用は「なぜ、そう言えないのか」「なぜ、
9: そう間違えるのか」から、その言語の規則解明につながるもので、誤用は重要である。
10:  学習者自身にとっては、学習者自身が立てた目標言語のルールの仮説を検証しているこ
11: との証であり、誤用を産出しながら習得を促進しているもので、誤用が重要である。
12:  教師にとっては、誤用によって学習者の現在地(何が分かって、何が分かっていないか)
13: と、誤用原因の推測、そしてその対処の仕方、治療法、さらに予防法まで考えることがで
14: きるので、誤用は重要である。
15:
16: 2.普遍文法理論の主張とその根拠について説明する。
17:  普遍文法理論は、1960年代にチョムスキーが、母語の習得に関して提唱した理論で
18: ある。それ以前の行動主義心理学や構造言語学では「刺激と反応の繰り返しによって習慣
19: が形成され、それが学習を生む」という考え方であり、外からの刺激、インプットが習得
20: に直接結びつく要因だと考えられていた。しかし、チョムスキーは、英語圏において親か
21: らのインプットに含まれない誤用を子供が産出するとの研究結果から、従来の刺激と反応
22: という考え方を否定し、人間の生得的に備わっている言語獲得装置すなわち普遍文法によっ
23: て言語が習得されると考えた。
24:  普遍文法理論の根拠については、まずは「刺激の貧困性」があげられる。それは、学習
25: 者である幼児が接触する入力データには、言語習得に必要で十分な情報はないし、それを
26: 補充するための「否定的証拠」が与えられていない、という問題である。更に、幼児の周
27: 囲の親たちは、正確な文章を話すことは期待できず、幼児の学習用としては決して質がよ
28: くない、という問題もある。したがって、量の面でも質の面でも「不十分な刺激」から幼
29: 児が言語体系を習得するのは困難であるとし、幼児や言語学習者においては生得的に言語
30: 獲得装置が存在し、その言語特性が作用して学習が可能になるとチョムスキーは唱え、こ
31: の言語特性を普遍文法と呼んだ。
32:  普遍文法理論では、さまざまな言語を習得する発達について、パラメータの考え方で説
33: 明している。最初はどの幼児も普遍原理と未設定のパラメータという状態であるが、親の
34: 言葉に触れることでパラメータが設定されていき、その後もさまざまな細かい規則が習得
35: される段階を経て個別の言語が習得されると考える。

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2023年度 6月試験 試験問題
30718:言語習得理論
問題は大きく三つに分かれており、問1と問2は「説明する」問題で、問2は「語句」を答える問題です。
問1.(1)「先生、お荷物を持ってきてさしあげましょうか」という発話は誤用かどうか、答えなさい。そして(2)正用だと考える場合はさらに良い表現にするならどう言い換えれば良いか。誤用だと考える場合はどこがおかしいのか、答えなさい。

問2.父親は日本人、母親はポルトガル人で、家庭での会話は主に日本語、子供の国籍はポルトガル、現在は日本に住んでおり、小学校で中国語を学んでいる。この場合、この子供の(1)母語、(2)母国語、(3)第二言語、(4)外国語はそれぞれ何語になるか答えなさい。

問3.次の説明に該当する「語句」を答えなさい。
(1)学習者がある言語でそれは間違っている、あるいは学習してはいけないと判断する情報のことを何と言うか。
(2)緊張したり、体調が悪かったりして、一時的に言い間違ってしまう誤用を何と言うか。
(3)教師の指導や練習が、学習者の習得にマイナスの影響を与えることを何と言うか。
(4)例えば、英語と日本語を使うことができるバイリンガルだが、どちらかと言うと英語の方が能力が劣る場合を何と言うか。
(5)アメリカのシューマンが提唱した第二言語習得のモデルとは何か。
(6)子供の第二言語習得において、生活の中で必要な基礎的な言語能力のことを何と呼んでいるか。
(7)1つの文の中にある様々な手がかりを相互に競い合わせることで文の理解や習得が進んでいくと考えた第二言語習得理論を何と言うか。
(8)学習の準備ができている項目を教えることは、習得順序の発達を促進させるのに有効であるとする考え方を何と言うか。
(9)誤用の重要性を主張したのは誰か。

解答案
問1
(1)「先生、お荷物を持ってきてさしあげましょうか」という発話は誤用であると考える。
 「さしあげる」というのは、目上(ここでは、先生)に向かって「与える・やる」という意味を表す謙譲語であり、自分から何かをプレゼントする場合には的確な表現であるが、今の場合には適していない。今の場面は、目上に何かを「与える・やる」ことそのものが不適格になる。
(2)別の言い方では、例えば、「先生、お荷物をお持ちしましょうか」または「先生、お荷物をお持ちいたしましょうか」が、目上への行為を表す謙譲語であり、これが的確となる。
問2 
(1)母語は日本語である。父親は日本人、母親はポルトガル人であるから、母語は日本語かポルトガル語のいずれかであるが、家庭での会話は主に日本語であるから、母語は日本語となる。
(2)母国語はポルトガル語である。国籍がポルトガルであるから。
(3)第二言語は、生活が日本であるから、母語が日本語以外なら第二言語が日本語となるだろうが、今の場合、家庭で日本語しか話されないとすれば、母語が日本語とみなせるので、第二言語がないとも考えられる。しかし、母親が家庭内でポルトガル語を使うとすれば、第二言語がポルトガル語と考えることもありえる。つまり、ポルトガル語が第二言語であり、かつ、母国語であるというケースはありえると考える。
(4)外国語は中国語である。小学校で中国語を学んでいるが、生活は日本語であり、教科として中国語を学んでいるから。
問3
(1)学習者がある言語でそれは間違っている、あるいは学習してはいけないと判断する情報のことを何と言うか。
 言語能力という。チョムスキーは、母語話者の頭の中にある母語に関する言語知識のことを言語能力と呼んだ。この能力によって、直感的にその文が正しいかどうかなどの判断ができると考えた。
(2)緊張したり、体調が悪かったりして、一時的に言い間違ってしまう誤用を何と言うか。
 ミステイクという。ミステイクは単なる言い間違いである。いつも間違うのはエラーという。
(3)教師の指導や練習が、学習者の習得にマイナスの影響を与えることを何と言うか。
 訓練上の転移という。教師の指導や練習が、実際の場面にそぐわない形になることもあり、学習者が、教室とは異なる場面ではふさわしくないそのままの会話をしてしまう誤用が起きることをいう。
(4)例えば、英語と日本語を使うことができるバイリンガルだが、どちらかと言うと英語の方が能力が劣る場合を何と言うか。
 偏重バイリンガルという。これと違い、2つの言語をともに流暢に使える場合は均衡バイリンガルという。
(5)アメリカのシューマンが提唱した第二言語習得のモデルとは何か。
 文化変容モデルという。文化的同化モデルともいう。シューマンは「第二言語習得は、学習者が目標言語の文化に適応するプロセスである」と考え、習得の度合いは学習者と目標言語文化の社会的距離、および心理的距離によって決まると主張した。
(6)子供の第二言語習得において、生活の中で必要な基礎的な言語能力のことを何と呼んでいるか。
 伝達言語能力あるいは、生活言語能力、BICSという。生活の中で伝達に必要な基礎的な言語能力のことである。
(7)1つの文の中にある様々な手がかりを相互に競い合わせることで文の理解や習得が進んでいくと考えた第二言語習得理論を何と言うか。
  コンペティション・モデルという。ベイツとマクウィニーが唱えたコンペティション・モデル(競合モデル)で、学習者はさまざまなキューを相互に競わせながら習得する、と考えた。
(8)学習の準備ができている項目を教えることは、習得順序の発達を促進させるのに有効であるとする考え方を何と言うか。
  教授可能性と呼ぶ。ピーネマンの処理可能性理論で、学習の準備ができたときのみ学習が可能であり、ある段階を飛び越えて上の段階の習得には至らない、しかし、学習の準備ができている項目を教えることは習得順序の発達を促進させるのに有効である、と考えた。この考え方を教授可能性と呼ぶ。
(9)誤用の重要性を主張したのは誰か。
 イギリスの言語学者コーダーによって、研究者と学習者と教師にとって、誤用は重要であると主張された。

第3課題
添付ファイルによる提出:  添付ファイルによる提出は不可
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レポートの文字数制限 :  1200~2000文字
第4課題
添付ファイルによる提出:  添付ファイルによる提出は不可
文章直接入力の要否  :  文章入力欄への入力が必須
レポートの文字数制限 :  1200~2000文字

第3課題 バイリンガリズムとバイリンガル教育について概説し、考察しなさい。
第4課題 日本語の習得研究について概説し、その研究が日本語教育にどう活用できるのか考察しなさい。

第3課題  本課題では、「バイリンガリズム」と「バイリンガル教育」の二つについて、教科書を要約し考察を加えることが求められています。いずれも教科書第5章が該当します。
 まず、バイリンガリズムやバイリンガルにはその言語の状態によって、いくつか種類があります。第一言語と第二言語の能力の違い、第一言語と第二言語の習得の順番、第一言語の状態などによって分けられています。また、バイリンガルの二つの言語の関係性について説明したものが、バイリンガリズムの理論です。例えば、頭の中で一方の言語が優性になるともう一方の言語が劣勢になると考える理論、それを否定して根本的な部分は同じであると考える理論、第一言語の能力に依存して第二言語の発達があるとする理論などが見られます。それぞれ専門用語やキーワードを用いながら、それらの違いや概念をよく理解しましょう。
 次に、そういった様々な状態にあるバイリンガルはどのような言語教育を受けることが望ましいのか、習得すべき能力とは何か、教育プログラムにはどのようなものがあり何が効果的なのか、年少者への日本語教育も含め、簡潔にまとめてください。
 また、「考察しなさい」とあるので、教科書を要約するだけでなく、それらを総括したり、内容を比較したり、参考文献を引用してさらに論じたりしてください。あるいは、身近な方にバイリンガルがいらっしゃれば、その方の言語や言語行動について考えてみるのも考察になります。
 そのうえで、まとまりの良い、論理的で学術的なレポートを目指してください。
第4課題  本課題では、「日本語の習得研究」、ここでは教科書に示す通り第二言語としての、つまり、外国人が母語以外の言語を習得する場合の、「日本語の習得」について、教科書第7章を元にまとめてください。第7章では、日本語習得研究の流れがどのように進んでいったか、近年の研究例を紹介しながら説明しています。そして、とりわけ2000年代に入ってから研究の内容は大きく変化し、研究対象や領域が変わり、その応用という点に注目が集まるようになりました。また、習得理論や仮説を検証しようとする研究、学習者の視点に立った研究が行われるようになりました。この辺をしっかりと要約しましょう。
 そして、このような日本語の第二言語習得研究が日本語教育にどのように活用できるのかについて考察してください。この点については、教科書第8章に具体的な研究例を引きながら説明がされています。そして、教科書の内容を踏まえて、自分なりにどう活用すべきなのか、第二言語習得理論、言語習得理論のどの点を日本語教育で生かしてみたいか、日本語教師になったことを想定して考えてみることもいいでしょう。
 レポートですので、まとまりの良い、論理的で学術的なレポートを目指してください。

第3課題 解答案
1 バイリンガリズムについて概説する。
(1) 定義
 ◯ バイリンガリズムとは、二つの言語が個人または社会の構成グループにおいて使用されることをいう。一つの言語だけを使用するのはモノリンガルという。
(2) 分類
 ◯ バイリンガリズムにおいて、二つの言語能力の程度によって分類される。二つ共に不十分なら、ダブル・リミテッドという。二つ共に十分なら、バイリンガルというが、両方が流暢なら均衡バイリンガルといい、片方だけが優勢なら偏重バイリンガルという。
 ◯ 子供が早い時期から同時に二つの言語習得が行われる場合を同時バイリンガリズムといい、一つを先に家庭で習得した後に小学校などで第二言語を習得しバイリンガルになった場合は連続バイリンガリズムという。
 ◯ また、第一言語と第二言語のそれぞれの文化で、二つの文化の価値が付加されるのは付加的バイリンガリズムといい、一つの文化により片方の文化が損なわれるのを削減的バイリンガリズムという。
(3) 第一言語と第二言語の能力の関係
 ◯ バイリンガリズムと知能・認知との関係について、カミンズは一方の言語能力が増すともう一方の言語能力が減るという均衡理論を考え、分離基底言語能力モデル(全体の容量は限られるから片方が大きくなるともう一方が小さくなるとする)と共有基底言語能力モデル(二つの言語能力と見えるが、底では繋がっていて、底の能力によって、二つの言語がともに機能する)という考え方を示した。
 ◯ カミンズは子供の言語発達の段階とバイリンガリズムの段階との関係で、敷居理論を唱えた。敷居理論では、三階建ての家で、1階と2階の間にも、2階と3階の間にも敷居があると考える。1階のレベルでは両言語の能力は低く、第二言語教育はマイナスの影響となる限定的なバイリンガルである。第一の敷居を経た2階の子供は、片方の言語で言語能力を持ち、第二言語教育はプラスにもマイナスにもならない弱い均衡バイリンガルである。第二の敷居を経た3階の子供は、両言語の能力を持ち、第二言語教育がプラスに働く均衡バイリンガルである。
 ◯ カミンズは敷居理論の考え方をもとに、子供の第二言語能力は、第一言語が発達しているほど第二言語も発達し、第一言語が発達していなければ第二言語も発達が難しい、という発達相互依存仮説を唱えた。
 ◯ 以上、いくつかの仮説をカミンズが提唱しているが、結果を解釈するモデルかもしれないが、具体的な日本語教育に役立たせるには距離があるのではないだろうか。

2 バイリンガル教育について概説する。
(1)二つの言語能力(BICSとCALC)
 ◯ 子供への第二言語教育では、カミンズが提唱した伝達言語能力(BICS:生活で伝達に必要な能力)と学力言語能力(CALP:学力に結びついた能力)の、二つの別々の言語能力を想定しなければならない。外国語話者の子供が日本語の学校に通い始めて、1~2年で日常会話は支障なくなったとしても、学習に必要な学力言語能力が不十分なことがあるので要注意である。
 ◯ 積極的にバイリンガルを育てようとするバイリンガル教育の一つにイマージョン・プログラムがあり、成功例がある。イマージョン・プログラムには、開始年齢(幼稚園、9,10歳、中・高段階)により、また、100%第二言語で教えるか半分だけか、また、クラスの構成として生徒全員が外国語話者か少数だけか、などの場合があり、さまざまな形態がある。
(2)日本における外国人児童生徒の日本語教育について考える。
 ◯ 日本での外国人日本語学習者は多種多様であり、中でも年少者は増加しており、多くは地域の小中学校に通っている。しかし、日本語指導専門家が少ないなど日本語教育環境が整備されていない状況が問題である。
 ◯ 外国人児童生徒の教科学習に必要な聴解力、作文力、読解力を測定できる指標が、「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」として文部科学省によって作成されている。
 ◯ 入国児童生徒に対して日本語教師が抱えるさまざまな問題点は日本語教育だけにとどまらない広範なものであるが、磯部によれば次のようである。
  1.母語保持・帰国後の心配
  2.適応・仲間づくりの心配
  3.学校生活での適応と入国児童生徒に対する対処法の心配
  4.異文化間教育の進め方に関する心配
  5.日本語教育における心配
  6.教科学習との関連の心配
  7.進路の問題に関する心配
  8.家庭・保護者との連携に関する心配
 ◯ 外国人児童生徒の日本語教育については、日本語指導専門家の育成を始め、基本的な政策もまだまだ今から整備すべきことが多く、今後の発展が待たれるところである。
1968文字

第4課題 解答案
1.日本語の習得研究について概説する。
(1)日本語の習得研究の歴史を概観する
 ◯1970年代から1980年代
   誤用分析を中心として、誤用から日本語文法を研究する方向と、誤用の原因を通じた教育研究を行った。
 ◯1990年代
   学習者の言語使用分析から習得順序や習得過程を明らかにしようという中間言語研究が行われた。
(2)2000年代からの習得研究
 ◯2000年代からの主な特徴
   コミュニケーション重視になり、社会言語学・語用論の領域が盛んとなった。外国人就労者増加にともない、生活者と年少者を対象とする研究が増えた。日本語教育への応用研究が盛んとなり、日本語指導効果を検証する研究などが行われた。
 ◯文法の習得
   たとえば、助詞の習得順序についての研究が行われている。また、「~ている」の習得、条件表現の習得など、文法に関しての習得研究が盛んに行われている。
 ◯語彙・意味の習得
   語彙・意味の習得研究も盛んに行われるようになっているが、これには、作文や発話の学習者コーパス(外国語学習者の文などのテキストのデータベース)が公開されてきたためであると考えられる。
 ◯社会言語学・語用論の分野の習得
   コミュニケーション重視の影響の一つが、社会言語学・語用論の分野での習得研究であろう。適切さ、ポライトネスなどはコミュニケーションで重要であるから、その分野の習得研究も行われている。
 ◯技能の習得
   「話す・聞く・読む・書く」の四技能それぞれ個別の習得研究も行われている。
 ◯習得理論の検証
   言語習得に関する仮説が提唱されてきたが、それらを日本語学習者で裏付けできるかの検証研究が行われている。それらの結果、仮説が指示されたものも、不支持となったものもある。
 ◯習得の活用
   習得研究から提唱される仮説を具体的に応用し、成果が実証できるか検証しようとする動きも出てきている。タスク中心教授法など習得に効果があると認められた研究もある。
(3)これからの習得研究
 ◯学習者の視点に立った研究
   これまでの習得に関する仮説が、学習者の視点に立っているかを見直そうとする研究があり、学習者の言語使用を質的に観察し、更に深く習得のメカニズムを探ろうとしている。今後の習得研究の方向性の一つとなるであろう。
 ◯データに基づく実証的研究
   日本語学習者に関する大規模コーパスなどが各種公開されてきており、実際のデータを根拠とする習得研究の基盤が充実してきているので、今後さらにデータに基づく実証的研究が進むと期待される。
 ◯拡大する研究領域と実践
   人工知能(AI)と日本語教育との関連についての議論は既に始まっており、生成AIなどとの議論も今後大いに期待されるところである。また、ICTの進歩に伴う、新しいICTツールを日本語教育にどう取り入れていくかも興味深い領域である。
2.日本語の習得研究が日本語教育にどう活用できるかを考察する。
(1)学習者言語の変化を基にした日本語教育
   学習者の発話などの変化をつかめば、学習者の中間言語の状態把握につながり、学習指導に活かせるものであり、これは患者に対する医者の正確な診断と治療に相当するであろう。ここで的確な診断を行えるためには、教師は多くの事例を把握しておくべきである。
(2)第二言語習得研究と日本語指導
   学習者の誤用を分析して、その結果を効果的な練習順序やカリキュラム作成に応用しようとする研究が始まっているので、今後の日本語指導に生かされると期待できる。
(3)学習者に求められる日本語教師
 ◯学習者の視点でさまざまな点に気配りができること
   クラッシェンのモニター・モデルでも、学習者の心理的な壁を低くすることが指摘されていた。この点からも、学習者の不安などに気配りして、教え方を工夫することが重要である。
 ◯学習者の誤用から学び、習得研究の成果を活かすこと
   誤用は学習者が習得を進めている証しであり、教師は学習者の誤用を今後に活かす配慮が必要である。例えば、良い質問があれば、「いい質問です」、と励ますが、それと同様に誤用も一種の良い質問であると捉えて、学習者を励ますために、「いい例文を出してもらいました」など、督励するようにしたいと思う。
 ◯授業を楽しむこと
   教師自身の前向きな態度は学習者の雰囲気に必ず反映されるものだから、教師と学習者が共に成長していくことを楽しめることが重要である。
1883文字

Q.1 必須

※問題はQ1のみです。Q2以降はありません。

次の問題に答えなさい。問1は記述問題です。問2は語句を答える問題です。

問1.言語習得の「環境」にはどのようなタイプのものがあるか、答えなさい。そして、それらの環境の違いによる習得の違いについて説明しなさい。

問2.次の(1)~(21)に入る語句を答えなさい。解答は(1)△△、(2)●●というように番号を振ってから語句だけを入力するようにしてください。
誤用には2つの種類があり、その事柄については一貫して間違う場合を(1)、言い間違いのような一過性の誤用を(2)と言う。
学習者が誤用をおかしたときに、会話を中断させることなく正用を提示する誤用訂正の方法を(3)と呼ぶ。
第二言語習得は学習者が目標言語の文化に適応するプロセスであると考えた理論を(4)と言う。
チョムスキーの提唱した第二言語習得理論は(5)理論と呼ばれ、それまでの(6)学に基づく刺激と反応による習得を否定した。なぜなら、母語話者から得られるインプットは不十分だからであり、そのことを「刺激の(7)」と呼び批判した。
入力仮説は、言語習得を促進させるために(8)インプットを十分に受けることが必要であると(9)が主張したものである。
有標性差異仮説を提唱したのは(10)である。
ロングは、インプットとアウトプットの両方を含む聞き手と話し手の(11)が習得を促進すると考えた。
第二言語習得に影響を与える要因として考えられるものには大きく3点ある。一つ目は(12)の影響、二つ目は言語環境の影響、三つめは習得順序の影響である。
学習をより易しくし、より早く、より楽しく、より自主的に、より効果的に、そして新しい状況に素早く対応するために学習者がとる具体的な行動や方策のことを(13)と言う。
ピーネマンは、学習の準備ができたときのみ学ぶことができるのであり、ある段階を飛び越えては上の段階の習得には至らないことを(14)と呼んだ。
目標言語の複数の項目をとりあげ、それらがどの順番で習得されるかを示した順序のことを(15)と言い、目標言語の複数の項目について正しく使われている割合を算出し、その割合の高いものから低いものへと順位をつけたものを(16)と言う。
学習者がわかるように調整された教師の話し方を(17)トークと言う。同じように簡略化された話し方で外国人に対する母語話者の話し方を(18)トークと言う。
セリンカーは第二言語学習者には共通の言語体系が存在すると考え、学習は学習者特有の言語体系である(19)を持っており、習得の段階に応じてその体系は変化すると主張した。
カミンズは外国人児童が学校で第二言語による授業についていけないのは、(20)能力が十分ではなく遅れて発達するからだと考えた。
意味を伝える言語活動の中で、文法形式に注目させる指導を(21)と呼ぶ。

※問題文は以上です。以下の白い枠内に答案を入力してください。

1: 問1 解答案
2: 1.言語習得の「環境」には、学習環境が目標言語圏かその他の国かの違いはあるが、こ
3: こでは、学校に通って学習するかどうかを想定することとし、次の3つのタイプに分けら
4: れる。
5: (1)教室指導環境
6:  学校に通って学習する場合をいう。例えば、英語が目標言語だとして、スペイン語母語
7: 話者がメキシコにいて、メキシコの英語学校で習得する場合である。
8: (2)自然習得環境
9:  学校に通わずに自然環境の下で習得する場合をいう。例えば、英語が目標言語として、
10: スペイン語母語話者がアメリカで学校に通わずに習得する場合である。
11: (3)ミックス環境
12:  上記の二つがミックスした場合をいう。例えば、英語が目標言語、スペイン語母語話者
13: がアメリカにいて、アメリカの英語学校で習得する場合である。
14: 2.これらの環境による習得の違いを述べる。
15: (1)教室指導環境
16:  単語や構文に注目する傾向があり、習得のスピードが速く、最終到達度が高い。文法の
17: 正確さを向上させる。
18: (2)自然習得環境
19:  意味に注目する傾向があり、文法的な部分の習得が遅い。
20: (3)ミックス環境
21:  低い成績の学習者の傾向は自然習得環境に近く、高い成績の学習者は教室指導環境に近
22: い。
23: 問2.解答案
24: (1) エラー
25: (2) ミステイク
26: (3) 暗示的フィードバック
27: (4) 文化変容モデル
28: (5) 普遍文法
29: (6) 行動主義心理
30: (7) 貧困性
31: (8) 理解可能な
32: (9) クラッシェン
33: (10) ケラーマン
34: (11) インターアクション
35: (12) 母語
36: (13) 学習ストラテジー
37: (14) 学習可能性
38: (15) 習得順序
39: (16) 正用順序
40: (17) ティーチャー
41: (18) フォリナー
42: (19) 中間言語
43: (20) 学力言語
44: (21) フォーカス・オン・フォーム

科目名:言語習得理論(30718F)レポート第3課題
以下の内容で提出しました。
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Q.1 必須

バイリンガリズムとバイリンガル教育について概説し、考察しなさい
1.バイリンガリズムについて概説する。
(1)定義
 ◯ バイリンガリズムとは、二つの言語が個人または社会の構成グループにおいて使用されることをいう。一つの言語だけを使用するのはモノリンガルという。
(2)分類
 ◯ バイリンガリズムにおいて、二つの言語能力の程度によって分類される。二つ共に不十分なら、ダブル・リミテッドという。二つ共に十分なら、バイリンガルというが、両方とも流暢なら均衡バイリンガルといい、片方だけが優勢なら偏重バイリンガルという。
 ◯ 子供が早い時期から同時に二つの言語習得が行われる場合を同時バイリンガリズムといい、一つを先に家庭で習得した後に小学校などで第二言語を習得しバイリンガルになった場合は連続バイリンガリズムという。
 ◯ また、第一言語と第二言語のそれぞれの文化で、二つの文化の価値が付加されるのは付加的バイリンガリズムといい、一つの文化により片方の文化が損なわれるのを削減的バイリンガリズムという。
(3)第一言語と第二言語の能力の関係
 ◯ バイリンガリズムと知能・認知との関係について、カミンズは、一方の言語能力が増すともう一方の言語能力が減るという均衡理論を考え、分離基底言語能力モデル(全体の容量は限られるから片方が大きくなるともう一方が小さくなるとする)と考えた。また別の、二つの言語が共に優れる場合の関係は、共有基底言語能力モデル(二つの言語能力と見えるが、底では繋がっており、底の能力によって、二つの言語が共に優れる)という考え方を示した。
 ◯ カミンズは、子供の言語発達の段階とバイリンガリズムの段階との関係で、敷居理論を唱えた。敷居理論では、三階建ての家で、1階と2階の間と、2階と3階の間とに敷居がある。1階のレベルでは両言語の能力は低く、第二言語教育はマイナスの影響になる限定的なバイリンガルである。第一の敷居を通過した2階の子供は、片方の言語で言語能力を持ち、第二言語教育はプラスにもマイナスにもならない弱い均衡バイリンガルである。第二の敷居を通過した3階の子供は、両言語の能力を持ち、第二言語教育がプラスに働く均衡バイリンガルである。
 ◯ カミンズは敷居理論の考え方をもとに、子供の第二言語能力は、第一言語が発達しているほど第二言語も発達し、第一言語が発達していなければ第二言語も発達が難しい、という発達相互依存仮説を唱えた。
 ◯ 以上、幾つかの仮説をカミンズが提唱しているが、結果を解釈するモデルかもしれないが、具体的な日本語教育に役立たせるには、今後の研究を待たねばならないのではなかろうか。

2.バイリンガル教育について概説する。
(1) 二つの言語能力(BICSとCALC)
 ◯ 子供への第二言語教育では、カミンズが提唱した伝達言語能力(BICS:生活で伝達に必要な能力)と、学力言語能力(CALC:学力に結びついた能力)の、二つの別々の言語能力を想定しなければならない。外国語話者の子供が日本の学校に通い初めて、1~2年で日常会話は支障なくなったとしても、学習に必要な学力言語能力が不十分なことがあるので要注意である。
 ◯ 積極的にバイリンガルを育てようとするバイリンガル教育の一つにイマージョン・プログラムがあり、成功例がある。イマージョン・プログラムには、開始年齢(幼稚園、9・10歳、中・高段階)により、また、100%第二言語で教えるか半分だけか、また、クラスの構成として外国語話者が生徒全員か少数だけか、などの場合があり、さまざまな形態がある。
(2) 日本における外国人児童生徒の日本語教育について考える。
 ◯ 日本での外国人日本語学習者は多種多様であり、中でも年少者は増加しており、多くは地域の小中学校に通っている。しかし、日本語指導専門家が少ないなど日本語教育環境が整備されていない状況が問題である。
 ◯ 外国人児童生徒の教科学習に必要な聴解力、作文力、読解力を測定できる指標が、「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」として、文部科学省によって作成されている。
 ◯ 入国児童生徒に対して日本語教師が抱えるさまざまな問題点は日本語教育にとどまらない広範なものであるが、磯部によれば次のようである。
 1.母語保持・帰国後の心配
 2.適応・仲間作りの心配
 3.学校生活での適応と入国児童生徒に対する対処法の心配
 4.異文化間教育の進め方に関する心配
 5.日本語教育における心配
 6.教科学習との関連の心配
 7.進路の問題に関する心配
 8.家庭・保護者との連携に関する心配
 ◯ 外国人児童生徒の日本語教育については、日本語指導専門家の育成をはじめ、基本的な政策もまだまだ今から整備すべきことが多く、今後の発展が待たれるところである。

科目名:言語習得理論(30718F)レポート第4課題
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Q.1 必須

日本語の習得研究について概説し、その研究が日本語教育にどう活用できるのか考察しなさい。
1.日本語の習得研究について概説する。
2: (1)日本語の習得研究の2000年代までの歴史を概観する。
3:  ◯ 1970年代から1980年代
4:  誤用分析を中心として、誤用からの日本語文法の研究と、誤用の原因を通じた教育研究
5: が行われた。
6:  ◯ 1990年代
7:  学習者の言語使用分析から習得順序や習得過程を明らかにしようとする中間言語研究が
8: 行われた。
9: (2)2000年代からの習得研究
10:  ◯ 2000年代からの主な特徴
11:  コミュニケーション重視になり、社会言語学・語用論の領域が盛んとなった。外国人就
12: 労者増加にともない、生活者と年少者を対象とする研究が増えた。日本語教育への応用研
13: 究が盛んとなり、日本語指導効果を検証する研究などが行われた。
14:  ◯ 文法の習得
15:  例えば、助詞の習得順序についての研究が行われている。また、「~ている」の習得、
16: 条件表現の習得など、文法に関しての習得研究が盛んにおこなわれている。
17:  ◯ 語彙・意味の習得
18:  語彙・意味の習得研究も盛んに行われるようになっているが、これには、作文や発話の
19: 学習者コーパス(外国語学習者の文などのテキストのデータベース)が公開されてきたた
20: めもあると考えられる。
21:  ◯ 社会言語学・語用論の分野の習得
22:  コミュニケーション重視の影響の一つが、社会言語学・語用論の分野での習得研究であ
23: ろう。適切さ、ポライトネスなどはコミュニケーションで重要であるから、その分野の習
24: 得研究も行われている。
25:  ◯ 技能の習得
26:  「話す・聞く・読む・書く」の四技能それぞれ個別の習得研究も行われている。
27:  ◯ 習得理論の検証
28:  言語習得に関する仮説が提唱されてきたが、それらを日本語学習者で裏付けできるかの
29: 検証研究が行われている。それらの結果、仮説が支持されたものも、不支持となったもの
30: もある。
31:  ◯ 習得の活用
32:  習得研究から提唱される仮説を具体的に応用し、成果が実証できるかを検証しようとす
33: る動きも出てきている。タスク中心教授法など、習得に効果があると認められた成果もあ
34: る。
35: (3)これからの習得研究
36:  ◯ 学習者の視点に立った研究
37:  これまでの習得に関する仮説が、学習者の視点に立っているかを見直そうとする研究が
38: あり、学習者の言語使用を質的に観察し、更に深く習得のメカニズムを探ろうとしている。
39: 今後の習得研究の方向性の一つとなるであろう。
40:  ◯ データに基づく実証的研究
41:  日本語学習者に関する大規模コーパスなどが各種公開されてきており、実際のデータを
42: 根拠とする習得研究の基盤が充実してきているので、今後さらにデータに基づく実証的研
43: 究が進むと期待される。
44:  ◯ 拡大する研究領域と実践
45:  人工知能(AI)と日本語教育との関連についての議論は既に始まっており、生成AIなど
46: との議論も今後大いに期待されるところである。また、ICTの進歩に伴う、新しいICTツー
47: ルを日本語教育にどう取り入れていくかも興味深い領域である。
48: 2.日本語の習得研究が日本語教育にどう活用できるかを考察する。
49: (1)学習者言語の変化を基にした日本語教育
50:  学習者の発話などの変化をつかめば、学習者の中間言語の状態把握につながり、学習指
51: 導に生かせるものであり、これは患者に対する医者の正確な診断と治療に相当するであろ
52: う。ここで的確な診断を行えるためには、教師は多くの事例を把握しておくべきである。
53: (2)第2言語習得研究と日本語指導
54:  学習者の誤用を分析して、その結果を効果的な練習順序やカリキュラム作成に応用しよ
55: うとする研究が始まっているので、今後の日本語指導に生かされると期待できる。
56: (3)学習者に求められる日本語教師
57:  ◯ 学習者の視点でさまざまな点に気配りができること。
58:  クラッシェンのモニター・モデルでも、学習者の心理的な壁を低くすることが指摘され
59: ていた。この点からも、学習者の不安などに気配りして、教え方を工夫することが重要で
60: ある。
61:  ◯ 学習者の誤用から学び、習得研究の成果を生かすこと
62:  誤用は学習者が習得を進めている証しであり、教師は学習者の誤用を今後に生かす配慮
63: が必要である。例えば、良い質問があれば、「いい質問です」、と励ますが、それと同様
64: に誤用も一種の良い質問であると捉えて、学習者を励ますために、「いい例文を出しても
65: らいました」など、督励するようにしたいと思う。
66:  ◯ 授業を楽しむこと
67:  教師自身の前向きな態度は学習者の雰囲気に必ず反映されるものだから、教師と学習者
68: が共に成長していくことを楽しめることが重要である。
参考文献記載欄
参考にした文献があれば、下記のテキスト欄に記載をして下さい。
日本語教育168号2017.12 人をつなぎ、社会をつくるー日本語教育の現代的可能性を開く:人工知能との対話 金孝卿

レポート第4課題 ×
総合評価D担当教員名:大堀 裕美
合否不合格
項目別評価
課題把握D教材理解C
論理構成D原稿作法・文章作法D
コメント参考文献について
書名に『 』を付加する、論文のタイトルには「 」を。

全体として
課題は、概説とあるので重要な理論や、研究名称、年代、内容を論じなければいけない。
本レポートは、テキストの抜書きのようになってしまっており、具体的な記述が見当たらない。
レポートというよりは、その前段階のメモのようになってしまっており、やはり書き直しが必要だと考える。

研究の流れの把握はできているので、再度主要な習得研究を挙げて概説、考察するようにしてください。

第4課題 日本語の習得研究について概説し、その研究が日本語教育にどう活用できるのか考察しなさい。
第4課題  本課題では、「日本語の習得研究」、ここでは教科書に示す通り第二言語としての、つまり、外国人が母語以外の言語を習得する場合の、「日本語の習得」について、教科書第7章を元にまとめてください。第7章では、日本語習得研究の流れがどのように進んでいったか、近年の研究例を紹介しながら説明しています。そして、とりわけ2000年代に入ってから研究の内容は大きく変化し、研究対象や領域が変わり、その応用という点に注目が集まるようになりました。また、習得理論や仮説を検証しようとする研究、学習者の視点に立った研究が行われるようになりました。この辺をしっかりと要約しましょう。
 そして、このような日本語の第二言語習得研究が日本語教育にどのように活用できるのかについて考察してください。この点については、教科書第8章に具体的な研究例を引きながら説明がされています。そして、教科書の内容を踏まえて、自分なりにどう活用すべきなのか、第二言語習得理論、言語習得理論のどの点を日本語教育で生かしてみたいか、日本語教師になったことを想定して考えてみることもいいでしょう。
 レポートですので、まとまりの良い、論理的で学術的なレポートを目指してください。

再度の回答案
第4課題 日本語の習得研究について概説し、その研究が日本語教育にどう活用できるのか考察しなさい。
1. 教科書の第7章「第二言語としての日本語の習得研究」の記述を元に、2000年以降の研究の特徴を述べる。
(1)2000年以降の習得研究の3つの特徴
 1つ目の特徴は、コミュニケーション重視の指導が強調され、「適切さ」に注目して社会言語学・語用論の領域が盛んとなったこと。2つ目の特徴は、外国人就労者の増加に伴い、生活者、年少者の外国人を対象とした研究が増えたこと。3つ目の特徴は、日本語教育への応用研究が増えたこと、である。以下に各領域での研究例を挙げる。以下、【研究要点。研究者名 年】としているのは、教科書の参考文献一覧での研究者名と年である。
(2)文法の習得
 【助詞の習得順序について、「は」が「が」よりも習得が早い。八木 1996】、【「~ている」の習得で、「動作継続」の用法が「結果の状態」より習得容易。黒野 1996】、【条件表現の習得について、条件表現で文末のモダリティにより使えない制約があるが、それを誤用するのに母語が影響。稲葉 1991;88】など、文法に関しての習得研究が盛んにおこなわれている。
(3)語彙・意味の習得
 【語彙・意味の習得について、日本語母語話者の動詞活用学習では、一つひとつを記憶する項目学習を行っており、学習者では、規則に沿って学習する規則学習を行っている、という仮説がデータで推測できた。菅谷 2010】とされた。これには、作文や発話の学習者コーパス(外国語学習者の文などのテキストのデータベース)が公開されてきたためもあると考えられる。
(4)社会言語学・語用論の分野の習得
  【社会言語学・語用論の分野では、不満を表明するときに相手のフェイスを脅かす表現を用いるかどうかに母語の影響がある。李 2004】との研究がある。
(5)技能の習得
  「話す・聞く・読む・書く」の四技能それぞれ個別の習得研究も行われている。【「話す」について、ある物語を語るとき、母語話者は忠実に話し、学習者は大胆な脚色が入る傾向がある。鳥 2910】、【「読む」について、学習者が学術論文を読み誤るのは、語の意味理解、文構造の捉え方、文脈との関連、背景知識などが原因。野田ほか 2017】とされた。
(6)習得理論の検証
  【動詞の持つ内在的意味がテンスやアスペクトの習得に影響するというアスペクト仮説は支持された。菅谷 2004】など、言語習得に関する仮説を日本語学習者で裏付けできるか検証している。
(7)習得理論の活用
  【タスク中心教授法など、習得に効果があると認められた。小柳 1998b】など、習得研究から提唱される仮説を具体的に応用・検証している。
(8)これからの習得研究
  学習者の視点に立った研究、データに基づく実証的研究が進んでおり、人工知能(AI)と日本語教育との関連についての議論は既に始まっており、生成AIなどとの議論も今後大いに期待されるところである。また、ICTの進歩に伴う、新しいICTツールを日本語教育にどう取り入れていくかも興味深い領域である(参考文献参照)。
2.日本語の習得研究が日本語教育にどう活用できるかを考察する。
(1)学習者言語の変化を基にした日本語教育
 学習者の発話などの変化をつかめば、学習者の中間言語の状態把握につながり、学習指導に生かせるものであり、これは患者に対する医者の正確な診断と治療に相当するであろう。ここで的確な診断を行えるためには、教師は多くの事例を把握しておくべきである。
(2)第2言語習得研究と日本語指導
 【学習者の誤用を分析して、その結果を効果的な練習順序やカリキュラム作成に応用しようとする提案。小林ほか 2001】もあるので、今後の日本語指導に生かされると期待できる。
(3)学習者に求められる日本語教師
 ◯ 学習者の視点でさまざまな点に気配りができること。
 クラッシェンのモニター・モデルでも、学習者の心理的な壁を低くすることが指摘されていた。この点からも、学習者の不安などに気配りして、教え方を工夫することが重要である。
 ◯ 学習者の誤用から学び、習得研究の成果を生かすこと
  誤用は学習者が習得を進めている証しであり、教師は学習者の誤用を今後に生かす配慮が必要である。例えば、良い質問があれば、「いい質問です」、と励ますが、それと同様に誤用も一種の良い質問であると捉えて、肯定的に学習者を励ますために、「いい例文を出してもらいました」など工夫して、督励するようにしたいと思う。
 ◯ 授業を楽しむこと
  教師自身の前向きな態度は学習者の雰囲気に必ず反映されるものだから、教師と学習者が共に成長していくことを楽しめることが重要である。

参考文献記載欄
参考にした文献があれば、下記のテキスト欄に記載をして下さい。
日本語教育168号2017.12 人をつなぎ、社会をつくるー日本語教育の現代的可能性を開く:人工知能との対話 金孝卿
こちらの質問にはレポート係から回答させていただきます。

すでに今年度のレポートの提出〆切は過ぎておりますので、レポートの再提出はお受けしかねます。

次年度に継続履修していただくことで、スクーリングの成績はそのまま引き継ぎ、レポートの提出・合格で単位修得することが可能です。その際、レポートの課題は新年度の課題(2月初旬に公開)となりますので、間違えないようにしてください。

スタディハンドブック・履修登録の手引きにも記載をさせていただいておりますので、そちらもご確認ください。よろしくお願いいたします。

・レポートの提出・評価について  「スタディハンドブック」31~32ページ「レポートの評価」
・学修途中科目の継続履修について 「履修登録の手引き」5ページ上方枠内「履修有効期限」

よろしくお願いいたします。

通信教育部教務課1
野上 久國
13:41:04

先の不合格のレポートについて、他に手段が見当たらなかったので、ここにレポートを記載します。
第4課題
1. 教科書の第7章「第二言語としての日本語の習得研究」の記述を元に、2000年以降の研究の特徴を述べる。
(1)2000年以降の習得研究の3つの特徴
 1つは、コミュニケーション重視の指導が強調され、「適切さ」に注目して社会言語学・語用論の領域が盛んとなったこと。2つは、外国人就労者の増加に伴い、生活者、年少者の外国人を対象とした研究が増えたこと。3つは、日本語教育への応用研究が増えたこと、である。以下に各領域での研究例を挙げる。以下、【研究要点。研究者名 年】での研究者名と年は、教科書の参考文献一覧での研究者名と年である。
(2)文法の習得
 【助詞の習得順序について、「は」が「が」よりも習得が早い。八木 1996】、【「~ている」の習得で、「動作継続」の用法が「結果の状態」より習得容易。黒野 1996】、【条件表現の習得について、条件表現で文末のモダリティにより使えない制約があるが、それを誤用するのに母語が影響。稲葉 1991;88】など、文法に関しての習得研究が盛んにおこなわれている。
(3)語彙・意味の習得
 【語彙・意味の習得について、日本語母語話者の動詞活用学習では、一つひとつを記憶する項目学習を行っており、学習者では、規則に沿って学習する規則学習を行っている、という仮説がデータで推測できた。菅谷 2010】とされた。これには、作文や発話の学習者コーパス(外国語学習者の文などのテキストのデータベース)が公開されてきたためもあると考えられる。
(4)社会言語学・語用論の分野の習得
  【社会言語学・語用論の分野では、不満を表明するときに相手のフェイスを脅かす表現を用いるかどうかに母語の影響がある。李 2004】との研究がある。
(5)技能の習得
  「話す・聞く・読む・書く」の四技能それぞれ個別の習得研究も行われている。【「話す」について、ある物語を語るとき、母語話者は忠実に話し、学習者は大胆な脚色が入る傾向がある。鳥 2910】、【「読む」について、学習者が学術論文を読み誤るのは、語の意味理解、文構造の捉え方、文脈との関連、背景知識などが原因。野田ほか 2017】とされた。
(6)習得理論の検証
  【動詞の持つ内在的意味がテンスやアスペクトの習得に影響するというアスペクト仮説は支持された。菅谷 2004】など、言語習得に関する仮説を日本語学習者で裏付けできるか検証している。
(7)習得理論の活用
  【タスク中心教授法など、習得に効果があると認められた。小柳 1998b】など、習得研究から提唱される仮説を具体的に応用・検証している。
(8)これからの習得研究
  学習者の視点に立った研究、データに基づく実証的研究が進んでおり、人工知能(AI)と日本語教育との関連についての議論は既に始まっており、生成AIなどとの議論も今後大いに期待されるところである。また、ICTの進歩に伴う、新しいICTツールを日本語教育にどう取り入れていくかも興味深い領域である(参考文献参照)。
2.日本語の習得研究が日本語教育にどう活用できるかを考察する。
(1)学習者言語の変化を基にした日本語教育
 学習者の発話などの変化をつかめば、学習者の中間言語の状態把握につながり、学習指導に生かせるものであり、これは患者に対する医者の正確な診断と治療に相当するであろう。ここで的確な診断を行えるためには、教師は多くの事例を把握しておくべきである。
(2)第2言語習得研究と日本語指導
 【学習者の誤用を分析して、その結果を効果的な練習順序やカリキュラム作成に応用しようとする提案。小林ほか 2001】もあるので、今後の日本語指導に生かされると期待できる。
(3)学習者に求められる日本語教師
 ◯ 学習者の視点でさまざまな点に気配りができること。
 クラッシェンのモニター・モデルでも、学習者の心理的な壁を低くすることが指摘されていた。この点からも、学習者の不安などに気配りして、教え方を工夫することが重要である。
 ◯ 学習者の誤用から学び、習得研究の成果を生かすこと
  誤用は学習者が習得を進めている証しであり、教師は学習者の誤用を今後に生かす配慮が必要である。例えば、良い質問があれば、「いい質問です」、と励ますが、それと同様に誤用も一種の良い質問であると捉えて、肯定的に学習者を励ますために、「いい例文を出してもらいました」など工夫して、督励するようにしたいと思う。
 ◯ 授業を楽しむこと
  教師自身の前向きな態度は学習者の雰囲気に必ず反映されるものだから、教師と学習者が共に成長していくことを楽しめることが重要である。

レポート提出条件
※文学部と2018年度以降入学の正科生は、レポート用紙での提出はできません。
課題 条件
第1課題
添付ファイルによる提出:  添付ファイルによる提出は不可
文章直接入力の要否  :  文章入力欄への入力が必須
レポートの文字数制限 :  1200~2400文字
第2課題
添付ファイルによる提出:  添付ファイルによる提出は不可
文章直接入力の要否  :  文章入力欄への入力が必須
レポートの文字数制限 :  1200~2400文字
第3課題
添付ファイルによる提出:  添付ファイルによる提出は不可
文章直接入力の要否  :  文章入力欄への入力が必須
レポートの文字数制限 :  1200~2400文字
第4課題
添付ファイルによる提出:  添付ファイルによる提出は不可
文章直接入力の要否  :  文章入力欄への入力が必須
レポートの文字数制限 :  1200~2400文字
課題(有効期限:2024年4月1日~2025年1月8日)
課題 内容
第1課題 「誤用」について教科書をもとに説明し、自分の第二言語習得を振り返り、考察しなさい。
第2課題 「母語の影響」について教科書をもとに説明し、自分の第二言語習得を振り返り、考察しなさい。
第3課題 「バイリンガリズム」と「バイリンガル教育」の二つをキーワードにしながら教科書をもとに概説し、もしも子供をバイリンガルにするとしたらどうすることが望ましいと言えるのか、考察しなさい。
第4課題 日本語の習得研究が日本語教育にどう活用できるのか教科書をもとに概説し、「求められる日本語教師とは何か」自分で調査し、考察しなさい。
課題解説
課題 内容
第1課題
以下の項目に重点を置いてレポートを作成してください。
<課題把握>
【レポート課題の問い】を正確に理解できているか?
レポートを作成する際に踏まえるべき【考察条件】を見落としていないか?
【考察の種類・タイプ】(報告型か論証型か)を正確に判別できているか?
<教材理解>
【シラバスの学習範囲の内容】(とりわけ、教材の主張、専門用語、重要な論点など)を正確に理解できているか?
【レポート課題に必要なテキストの内容】を正確に理解できているか?
<論理構成>
【レポート課題とあなたの結論】がしっかりと対応しているか?
1パラグラフ・1主題の原則を踏まえて、適切な長さで書かれているか?
パラグラフで最も述べたいことが題目文の中に書かれているか?
パラグラフの中の文と文は概ねスムーズにつながっているか?
パラグラフ間がスムーズにつながっているか。
説明・論証に必要な【データと論拠】が補足文の中で十分に踏まえられているか?
<原稿作法文章作法>
【論理構成の観点】から見て、内容の重複がないか?
【文章作法の観点】から見て、誤字・脱字、語調の統一、主語と述語の対応、つなぎのための接続語等が適切に使われているか?
【原稿作法の観点】から見て、句読点、改行、行頭・行末の禁則、括弧記号等が適切か?
【引用・参考文献】(本文中と文末のリスト)の記載方法に誤りはないか?
 「誤用」は、第二言語習得研究の中でも重要なテーマとして扱われています。なぜなら、第二言語を習得したということは、目標言語を運用するうえで「誤用が無くなる」ということを意味していると考えられたためです。そして、その誤用を無くすにはどうしたらいいか、なぜそのような誤用が生ずるのか、誤用とはそもそも何なのかについて研究されてきました。本レポート課題は、この「誤用」という重要キーワードの意味、位置づけ、実態について理解することがねらいです。
 まず、教科書の第1章と第2章をしっかりと読みましょう。そして、第二言語習得研究の流れの中で「誤用」を捉え、説明することが大切です。まず、誤用とは何を指す概念か、誤用の分類について述べてください。また、化石化(誤用が改善されず残ってしまう現象)の原因の中にも誤用に関わる点があります。そして、その誤用は第二言語習得研究の中で悪いものと捉えられた時期がありましたが、なぜ良いもの=重要だという発想の転換が生まれたのかについても説明してください。あわせて、誤用に対する見方の変化を研究の流れや研究史からも説明できると更にいいでしょう。以上の点が、「教科書をもとに説明し」に該当する部分です。なお、その他参考文献についても言及するのであれば、教科書の要約を行った後に補足するという形で加えるようにしてください。参考文献のみでレポートを書くのは、課題に沿ったレポートではありません。
 また、レポート課題には「自分の第二言語習得を振り返り」とあるので、この部分も必須です。教科書を要約したり参考文献で補足したりするだけで終わるのではなく、誤用をキーワードにしてご自分の第二言語習得(外国語習得も含む)を振り返り、具体的にどのような誤用が生じたか、誤用をどう捉えていたか、誤用を教師はどう訂正していたか、等を記述し、教科書の学びをご自分の経験と有機的に結びつけるようにしてください。ここが考察として重要なところになります。
 そのうえで、レポートの書き方に則った、構成のしっかりした論理的で学術的なレポートを目指しましょう。
第2課題
以下の項目に重点を置いてレポートを作成してください。
<課題把握>
【レポート課題の問い】を正確に理解できているか?
レポートを作成する際に踏まえるべき【考察条件】を見落としていないか?
【考察の種類・タイプ】(報告型か論証型か)を正確に判別できているか?
<教材理解>
【シラバスの学習範囲の内容】(とりわけ、教材の主張、専門用語、重要な論点など)を正確に理解できているか?
【レポート課題に必要なテキストの内容】を正確に理解できているか?
<論理構成>
【レポート課題とあなたの結論】がしっかりと対応しているか?
1パラグラフ・1主題の原則を踏まえて、適切な長さで書かれているか?
パラグラフで最も述べたいことが題目文の中に書かれているか?
パラグラフの中の文と文は概ねスムーズにつながっているか?
パラグラフ間がスムーズにつながっているか。
説明・論証に必要な【データと論拠】が補足文の中で十分に踏まえられているか?
<原稿作法文章作法>
【論理構成の観点】から見て、内容の重複がないか?
【文章作法の観点】から見て、誤字・脱字、語調の統一、主語と述語の対応、つなぎのための接続語等が適切に使われているか?
【原稿作法の観点】から見て、句読点、改行、行頭・行末の禁則、括弧記号等が適切か?
【引用・参考文献】(本文中と文末のリスト)の記載方法に誤りはないか?
 教科書第4章では、第二言語習得に影響を与える要因として「習得順序」、「母語」、「言語環境」の3つをあげて説明しています。本レポート課題は、この中の一つである「母語」に注目して考察するものです。
 母語は、学習者が最初に習得した言語であり、第二言語を学ぶ段階では大人の場合は既に完成していると考えられます。この場合、第一言語である母語を持っている状態で第二言語の習得が始まるため、母語が何らかの影響を与えると考えるわけです。もし影響があるとすれば果たして、それは良い影響なのか、悪い影響なのか、そして影響が出やすい領域はどこなのか、どのような影響が見られるのか、これまでの研究からわかったことを整理してみてください。一方で、「自然な順序がある」と考える学者は母語の影響は小さいと見ています。以上の点について「教科書をもとに説明し」とあるので、キーワードや専門用語をおさえながらまとめてください。なお、その他参考文献についても言及するのであれば、教科書の要約を行った後に補足するという形で加えるようにしましょう。参考文献のみでレポートを書くのは、課題に沿ったレポートではありません。
 また、レポート課題には「自分の第二言語習得を振り返り」とあるため、この部分も必須です。教科書を要約したり参考文献で補足したりするだけで終わるのではなく、母語の影響についてご自分の第二言語習得(外国語習得も含む)を振り返り、母語によって具体的にどのような影響が生じたか、母語を活用したか、母語と第二言語の言語的距離をどう捉えて学習していたか等を記述し、教科書の学びをご自分の経験と有機的に結びつけるようにしてください。
 そのうえで、レポートの書き方に則った、構成のしっかりした論理的で学術的なレポートを目指しましょう。
第3課題
以下の項目に重点を置いてレポートを作成してください。
<課題把握>
【レポート課題の問い】を正確に理解できているか?
レポートを作成する際に踏まえるべき【考察条件】を見落としていないか?
【考察の種類・タイプ】(報告型か論証型か)を正確に判別できているか?
<教材理解>
【シラバスの学習範囲の内容】(とりわけ、教材の主張、専門用語、重要な論点など)を正確に理解できているか?
【レポート課題に必要なテキストの内容】を正確に理解できているか?
<論理構成>
【レポート課題とあなたの結論】がしっかりと対応しているか?
1パラグラフ・1主題の原則を踏まえて、適切な長さで書かれているか?
パラグラフで最も述べたいことが題目文の中に書かれているか?
パラグラフの中の文と文は概ねスムーズにつながっているか?
パラグラフ間がスムーズにつながっているか。
説明・論証に必要な【データと論拠】が補足文の中で十分に踏まえられているか?
<原稿作法文章作法>
【論理構成の観点】から見て、内容の重複がないか?
【文章作法の観点】から見て、誤字・脱字、語調の統一、主語と述語の対応、つなぎのための接続語等が適切に使われているか?
【原稿作法の観点】から見て、句読点、改行、行頭・行末の禁則、括弧記号等が適切か?
【引用・参考文献】(本文中と文末のリスト)の記載方法に誤りはないか?
 二つの言語を自由に操ることができるバイリンガルに憧れる人は多いのではないでしょうか。バイリンガルと言っても、私たちが考えるほど単純なものではなく、二つの言語がどのような形で習得され運用できるかによって実はさまざまな状態が考えられます。例えば、第一言語と第二言語の能力の違い、第一言語と第二言語の習得の順番、第一言語の状態などによって分けられています。そして、バイリンガルの二つの言語の関係性について説明したものが、バイリンガリズムの理論です。例えば、頭の中で一方の言語が優性になるともう一方の言語が劣勢になると考える理論、それを否定して根本的な部分は同じであると考える理論、第一言語の能力に依存して第二言語の発達があるとする理論などが見られます。以上が、「バイリンガリズム」に関わるところです。
 次に、そういった様々な状態にあるバイリンガルはどのような言語教育を受けることが望ましいのか、習得が優位な能力と劣位にある能力とは何か、また教育プログラムにはどのようなものがあり何が効果的なのか、年少者への日本語教育も含め「バイリンガル教育」について簡潔にまとめてください。
 以上の二点は教科書の第5章に書かれています。教科書をよく読み、専門用語やキーワードを拾いながら「教科書をもとに概説」するようにしてください。なお、その他参考文献についても言及するのであれば、教科書の要約を行った後に補足するという形で加えるようにしましょう。参考文献のみでレポートを書くのは、課題に沿ったレポートではありません。
 また、レポート課題には「もしも子供をバイリンガルにするとしたら」という仮定が設定されています。学んだことを総括してみると、結局、理想的なバイリンガルを育成するにはどうすることが望ましいのか、について考察してください。この部分も必須内容です。教科書の学びを実際の中で結びつけるようにしましょう。もしもご自分のお知り合いやご家族にバイリンガルの方がいらっしゃったら、そういう方の言語や言語行動またご経験も参考にして述べてみるのもいいでしょう。
 そのうえで、レポートの書き方に則った、構成のしっかりした論理的で学術的なレポートを目指しましょう。
第4課題
以下の項目に重点を置いてレポートを作成してください。
<課題把握>
【レポート課題の問い】を正確に理解できているか?
レポートを作成する際に踏まえるべき【考察条件】を見落としていないか?
【考察の種類・タイプ】(報告型か論証型か)を正確に判別できているか?
<教材理解>
【シラバスの学習範囲の内容】(とりわけ、教材の主張、専門用語、重要な論点など)を正確に理解できているか?
<論理構成>
【レポート課題とあなたの結論】がしっかりと対応しているか?
1パラグラフ・1主題の原則を踏まえて、適切な長さで書かれているか?
パラグラフで最も述べたいことが題目文の中に書かれているか?
パラグラフの中の文と文は概ねスムーズにつながっているか?
パラグラフ間がスムーズにつながっているか。
説明・論証に必要な【データと論拠】が補足文の中で十分に踏まえられているか?
<原稿作法文章作法>
【論理構成の観点】から見て、内容の重複がないか?
【文章作法の観点】から見て、誤字・脱字、語調の統一、主語と述語の対応、つなぎのための接続語等が適切に使われているか?
【原稿作法の観点】から見て、句読点、改行、行頭・行末の禁則、括弧記号等が適切か?
【引用・参考文献】(本文中と文末のリスト)の記載方法に誤りはないか?
 本課題は、教科書第7章と第8章に書かれている内容として、これまでの「日本語の習得研究」を踏まえてそれを日本語の教育にどう生せばいいのか考えることと、第8章に書かれている「学習者に求められる日本語教師」について、新たに「自分で調査を行う」こと、の2点が必須内容となります。
 第7章では、日本語習得研究の流れがどのように進んでいったか、近年の研究例を紹介しながら説明しています。そして、とりわけ2000年代に入ってから研究の内容は大きく変化し、研究対象や領域が変わり、その応用という点に注目が集まるようになりました。また、習得理論や仮説を検証しようとする研究、学習者の視点に立った研究が行われるようになりました。そして、このような日本語の第二言語習得研究が日本語教育にどのように活用できるのかについて、教科書をもとにまとめてください。
 次に、レポート課題には「「求められる日本語教師とは何か」自分で調査し」とありますので、教科書第8章にあるこれまでの研究の結果わかったこととは別に、新たに2024年度現在において自分の周りにいる方に聞いてみた結果を示してください。調査内容は、教科書p203(8)にある「次の条件はあなたの先生に不可欠ですか」という質問(選択問題)をして答えてもらう。あるいは、「学習者として望む日本語教師とはどういう人ですか」という質問(記述問題)をして答えてもらう、でもいいですし、新たにご自分で作った質問を加えてより充実した調査にしてもより良いでしょう。
 調査の方法はアンケート(紙に質問を書いて渡し記入してもらう。メールやSNSに入力して回答を返してもらう。あるいは最近はGoogle Forms等電子媒体で手軽に作れるアンケートもあるため、それをSNSやメールで拡散して回答してもらう方法もあります。)、インタビュー(直接会って、電話で、口頭で質問して答えをメモする)などがあります。ただし、実際に日本語を学ぶ外国人の方が身近にいる場合は少ないかもしれません。その場合は、ご友人やご家族など(日本語母語話者)に望ましい日本語教師ではなく「望ましい英語(語学)教師」に変えて調査をする、でも結構です。ご自分で実際に調査をやったことがわかるように、調査時期、調査方法、調査対象者と人数など調査の概要は丁寧に書きましょう。また、数値化できる点は数値化し、具体的な回答内容なども引用するようにしてください。調査結果の信頼性を高めるためです。
 そして、そのオリジナル(独自)の調査から何がわかるか、その結果は教科書と同じだったか比較する。また、これまで出会った教師を思い出しその特質や良さについても書き加えても良いでしょう。
 そのうえで、レポートの書き方に則った、構成のしっかりした論理的で学術的なレポートを目指しましょう。

教科書8.3 学習者に求められる日本語教師
(8)学習者が日本語教師に望む条件
柔軟性
楽しい授業
幅広い知識
標準的な日本語
経験
生徒の母語能力
相談相手
学習者の専門知識
論文発表
修士号

日本語教師に大切なこと