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「夏の甲子園」強行で思い出す、亡霊のような日本企業の“精神主義” ~経済ジャーナリストからの提言~ – 大西 康之 日本の半導体産業の礎を築いた元シャープ副社長の佐々木正氏は、終戦直後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の命令で、真空管の製造技術を学ぶため米ウエスタン・エレクトリックの工場を訪れた。すると派手な化粧をした女子工員たちがガムを噛み、ペチャクチャとおしゃべりしながら真空管を組み立てていた。佐々木氏は戦時中、自分が責任者だった神戸工業(現デンソー)の工場で働いていた女学生たちの真剣な姿を思い出し「こんなだらしない国に日本は負けたのか」と歯噛みした。
 しばらく作業を見ていると、おしゃべりをしていた女子工員がボルトを一つ取り落とした。
(そらみたことか。真剣にやらんからだ)
 佐々木氏は腹のなかでそう思った。しかし、次に見た光景に驚愕した。女子工員が落としたボルトはコロコロと床を転がって、生産ラインの振り出しのボルト入れの箱に戻ったのだ。女子工員は落としたボルトを拾おうとせず、相変わらずおしゃべりをしながら作業を続けているが、組み立てラインのスピードが落ちることはない。
(これに負けたのか!)
「誰しも失敗はする」という前提で効率を上げる合理主義と、不可能を気合いで乗り切ろうとする精神主義。我々は先の戦争でその違いをまざまざと見せつけられたはずなのに、真夏の甲子園では亡霊のように「心頭滅却すれば火もまた涼し」の精神主義が顔を出す。
 選手と観客の安全を守り、悪しき精神主義から脱却するため、この際「夏の甲子園」をすっぱりやめるのも一案だと思うのだが、いかがだろう。

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