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官邸ドローン、"オモチャ"相手に騒ぎすぎ | トレンド | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

しかし、閲覧者は少なくても、検索エンジンに掛ければ、どんなマイナーなサイトでも検索に引っ掛かるのが現代のインターネット社会である。市民運動というものは、ややもすれば、過激な行動を煽る傾向にある。公安当局は当然、ウェブサイトにも目を光らせ、要注意人物をそれなりにリストアップしているものと思っていたが、残念ながら今回、自首するまで、犯人の正体は解らなかった。事態が起こる前に防ぐことをモットーとする公安捜査の失敗であると言わざるを得ない(ただし4月26日時点の最新情報では、犯人は、ブログは書いてはいたものの、事件発覚まで非公開だったのでは?との疑問も提示されている)。

兵器級として見た時に、いわゆるクアッド・コプターは必ずしも有利ではないからだ。あのようなドローンが活躍するのは、人質立てこもりのような事件での警察の状況偵察程度であり、軍隊が必要とする、長時間の撮影には向かない。ものは運べないし、スピードが出ないから、撃墜も容易だし、何より航続距離が短すぎる。

問題は、クアッド・コプターの性能である。4Kカメラを吊り下げ、海岸線の夕焼けを撮影するには向いている。あるいはマラソン中継の要所要所で、上空からの俯瞰映像を撮ったら迫力があるだろう。建設現場での利用にも効果がある。

今回の事件の斬新さは、生命に危険の無いレベルとはいえ、世界で初めて、ドローンを利用したダーティ・ボム攻撃が実行された点にあるが、ただちに人体に害を及ぼすレベルの汚染物質を手に入れるのは容易ではないし、それを上空からばらまいた所ですぐ拡散される。

日本人は、地下鉄サリン事件で、化学兵器の恐ろしさを嫌というほど知ることになったが、地下鉄サリン事件の場合は、それが地下鉄車両、及び地下鉄駅構内という密閉された空間でばらまかれたから犠牲者を増やすことになった。化学兵器は、地上ではあっという間に拡散する。これを地上でやって殺傷効果を得るとなれば、求められる量は、たかだかドローンで運べるものではない。何キロという重量になる。生物兵器にしても、電車の中でこっそり撒いた方が効果的であることは、言うまでも無い。

つまり、デモンストレーションという意味合いを除いては、現状、市販されているドローンを、テロ行為に使っても効果はほとんど見込めない。過激派が使う従来型の迫撃弾の方が遙かに恐ろしい。何しろあちらは爆発せずとも、その運動エネルギーだけで人を殺傷できる。

今回、汚染土を用い、それが危険物質であることを誇示したせいで、威力業務妨害が成立することになった。しかし、汚染土が無ければ、これは、キャッチボールで遊んでいた子供のボールが、他人の敷地内に飛んでいったという程度の話だ。それを意図的にやり警備当局の面子を潰したという点が”事件”となったに過ぎない。

事件と前後して、とある民放局が、イギリス大使館の敷地内にドローンを墜落させていたことが明るみに出たが、だからと言って、テレビ局の社員を逮捕することはできない。

ドローンを登録制や免許制にしようとする議論が始まっているが、効果は薄いだろう。完成品でなくとも、部品を別個に買って組み立てることは可能だからだ。そしてその部品のほとんどは中国で作られている。中国人は、商品を売るために法の抜け穴を立ち所に見付けるだろう。何より、意思を持った人間は、法律など気にしない。

撃墜をするのは難しい

ただし、クアッド型のドローンの場合、スピードが遅いという欠点があるので、投網のようなものを官邸や周辺のビルからロケットで発射するという手はある。あるいは、こちらもドローンを用意してぶつけるとか。冗談になるが、鷹匠を配置して、鷹にドローンを襲うよう訓練するという手もある。しかしいずれも、費用対効果に怪しい。そこまでして防がねばならないほどの危険は、市販ドローンにはない。

誰が撃ち落とすのか、という課題もある。ドローンの所持や利用を法律で規制し、撃墜する手段を用意することは出来ても、それを実際に撃墜する法律を作るのは極めてハードルが高い作業になるだろう。警視庁は戦車を持たない。もちろん対空機関砲もミサイルも持たない。なぜならそれが警察だからである。そんなものを持ったらそれは準軍隊組織ということになる。従って、兵器を用いての撃墜は自衛隊の役割となる。

それに、ことは官邸や皇居だけ守れば良いという話でもない。総理大臣は地方視察もすれば、屋外のイベントにも出席する。その度に自衛隊が大げさな迎撃システムを持参して守るというわけにもいかない。

ドローンの存在は、別に目新しくも無い。昔からラジコン飛行機はあった。それと何処が違うかと言えば、入手し易くなり、操縦の技術も要らなくなった点だろう。

私は、「ドローンが社会を変える」と言えるほどの期待は持っていない。だが、兵器として見た時に、たいしたことは出来ない、とは断言できる。この世に危険なものは一杯ある。自転車だって、ひとつ間違えば凶器になる。3Dプリンターで銃を作れるからと言って、それを禁止する理由にはならない。関係者は肝を冷やしただろうが、現状、ドローンに付いて最も懸念されることは、墜落事故に拠る通行人の怪我に他ならない。それは、利用者のモラル向上でしか防げないだろう。

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