コグニティブ無線の実現に向けて

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コグニティヴ無線の実現に向けて 

コグニティヴ無線の概要とコグニティヴ無線分散ネットワーク 電気通信大学先端ワイヤレスコミュニケーショオン研究センター 准教授 藤井威生

まず概要。
コグニティヴ 認知 、コグニティヴ無線 認知無線。周囲の無線環境を認知して自律的にパラメータの設定を行う無線システム
代替無線は20パーセント使う。残る80パーセントは使える可能性があるホワイトスペース。例えば東京タワー近辺ではテレビ4CHは使うが、テレビ5CHは使われてないことになる。TV5CHが使われる場所まで飛んでいかなければ使える。
元々、ソフトウェア無線の研究が活発(とくに軍事用途)、高価などで普及しなかった。 1999年に J.Mitolaがコグニティヴ無線の概念を提唱(プロトコルの記述言語を。ソフトウェア無線の拡張。無線環境の記述言語)。
提唱されたコグニティヴサイクルを簡易にしたコグニティヴ採掘(無線環境の把握、無線帯域選択、無線パラメータ設定、無線通信実行という、観察、判断、適応、実行のサイクル)。
2005年 米国ボルチモアで初めてのこぐ似てイヴ無線に関する国際会議DySPAN2005開催。2007年頃から爆発的に研究活動が活発化。
分類  それぞれ、違った要素技術になる。
マルチモードシステム(ヘテロジニアスネットワーク) 複数のLAN方式とかケータイを渡り歩くなど。周波数利用効率改善効果は高くない。既存の電波法枠内で対応可能。
ダイナミックスペクトルアクセス(周波数共用型こぐ似て基部無線)周波数をフレキシブルに二次利用。周波数利用効率は大幅に改善可能。周波数割り当て方針の変更が必要。
従来の周波数共用(スペコトラム拡散、UWB)は無線環境の認知がなかった。普及は限定的。SSは自帯域内での周波数利用効率の点から使われている。コグニティヴ無線の場合には、環境の認知により、与干渉回避が可能なので、既存システム側からの了解が得られるかも。
FCCではテレビ用周波数の二次利用を制度としては開始。IEEEで無線LANの拡張として標準化中。
日本ではホワイトスペース特区、2010年7月から実験開始。
ホワイトスペース活用の分類。 テレビホワイトスペース(日本では固定的なワンセグ放送など)と、一般化されたホワイトスペース(テレビ帯域に限定しない。)

コグニティヴ無線分散ネットワーク

まとめ 今後の展望
コグニティヴ無線の研究はその登場から10年。

周波数共用のためのスペクトルセンシング技術 東京農工大学大学院工学部電気電子工学科 助教 梅林健太
これまでの周波数共用例
静的な共用 5.3GHz帯 気象レーダと無線LAN(屋内に限る)、無線LANは5.3GHzを使用する前に1分間観察して気象レーダを優先する。
動的な共用 2.4GHz帯の異無線LAN間、衝突対策はキャリアセンス。
コグニティヴ無線技術で、プライマリシステムを優先するため、スペクトラムセンシング。
拘束条件としてプライマリへの影響(例:干渉レベル)として、目的関数のセカンダリのパフォーマンス(例:スループット)を最大化
スペクトラムセンシングには、他からの協力(データベース型、ビーコン信号、パイロットチャネル)もあり得るが、ここではセカンダリユーザによるセンシングで行う自律型を論じる。
自律型でも、単独と協調(分散型、中央制御型)がありえる。
センシングに用いるメトリック 電力検出、信号特徴両、周期定常性、マッチドフィルタ と段階をへて、所要の事前情報が必要となり、検出能力と識別能力が高度になる。
周波数共用の次元でも、空間(距離)、空間(角度)でビームフォーミング、時間(瞬時)、時間(占有率)などもありえる。
電力基準センシングでセンシング問題を設定する。仮説検定問題としてのセンシング。PSはスペクトルを使用していないか、使用中かを判定する。尤度比、2つの誤り(False AlarmとMiss Detection)と閾値。ところが、二つの誤りを同時に下げるのは困難。False Alarmの確率を用いて設計することが多い、しかし、プライマリユーザにとって重要な、干渉を下げるためにはMiss Detectionを基準にするのが望ましい。それを満たすためのセンシングを提案する。
協調センシング 複数のセカンダリで協調してセンシングするもの。
尤度比検定を使うのは最適解になるが、実際に得るには位置情報なども必要となるので困難。そこで、局所解として、特定の場合でのみ最適なものを想定する。つまりセカンダリがみんなプライマリから同じ距離離れている場合。その想定で閾値を設計する。
シミュレーションを行った。 まとめ 協調センシングで性能向上できる。
時間占有率に基づく周波数共用
以上の電力基準ではなく、周期定常性を用いて、観測異信号の識別により、センシング。
まとめ 環境に合わせてのセンシングが必要ではないのかな。

質問 自律より、第三者でのセンシングは?
回答梅林 第三者での調整は効率が高くなると思われる。データベースがそれ。しかし、自律でどこまでできるかが学問的に興味深い。
回答藤井 ある程度の協調性を持たせながら、自律でダイナミックという方向が今後ではなかろうか。集中制御の限界を破る方向。

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