書評とりあえず

1 晋遊舎ブラック新書 006 学校裏サイト 進化するネットいじめ 著者 渋井哲也 2008年4月15日発行
(1) 渋井氏は著書に「気をつけよう!ゲーム中毒」などがあるフリーライターとのことである。
(2) 新聞記事などからの、ネットいじめに起因するとされる少年事件などを並べ、教育委員会などの調査結果を引用している。しかしハイライトは下田博次群馬大教授のインタビュー記事のように思われる。一部に荻上チキ氏の「ウェブ炎上」からの引用も含まれるのですが,後で紹介する荻上氏の著書から見ると、なにやら皮肉な感じがしますね。
(3) 印象としては、現状はこうなっている、というまとめで、深く原因追究とか提言などをしているようには思えなかった。お薦めしません。

2 ミネルヴァ書房 大人が知らない ネットいじめの真実 著者 渡辺真由子 2008年7月25日初版第1刷発行
(1) 渡辺氏はいじめの取材を始めて10年になるという元テレビ局報道記者で、著書に「オトナのメディア・リテラシー」があるメディアジャーナリスト、慶応大メディア・コミュニケーション研究所非常勤講師とのことである。
(2) いじめの被害者への取材などを丹念に紹介している。規制の状況なども紹介しているが、規制反対ではないが規制強化の方向ではなさそう。
(3) 相談先の連絡一覧などをのせて、いじめにあった場合の対処などを示している。お薦めしません。

3 中公新書ラクレ 155 ネット王子とケータイ姫 悲劇を防ぐための知恵 著者 香山リカ+森健 2004年11月10日発行
(1) 香山氏は著書に「テレビゲームと癒し」がある評論活動でも著名な精神科医。森氏はブルーバックス「人体改造の世紀」などがあるフリー・ジャーナリスト。
(2) 少年事件の実例から入って、ネットが少年に悪影響をどう与えているかを紹介。しかし、その反面で、ネットで助けられる面も紹介。規制論としての柳田邦男氏の論などを紹介。特にゲーム脳の森昭雄氏の説に対して強く非難している。坂元章氏の五年周期でゲーム悪影響論が出る分析などを紹介し、マスコミや一般がゲーム脳仮説にとびつく理由を分析している。最後に、親と子供への提言をまとめている。
(3) うまくネットとケータイを使っていこう、という提言と思われる。お薦め本です。

4 MYCOM新書 ネット犯罪から子どもを守る 被害者にも加害者にもしないために親がすべきこと 著者 唯野司 2006年6月16日初版第1刷発行
(1) 唯野氏は「CPUのきもち」などがある、パソコン・インターネット関連を扱うテクニカルライター。
(2) ネット・パソコンが苦手な親向けに、ネットの危険性を実例をあげて解説し、安全な使い方の心得を説く。
(3) 事前知識のほとんど無い人が最初に手に取るには役立つ本。お薦めするほどではないです。

5 講談社現代新書 1944 ケータイ世界の子どもたち 著者 藤川大祐 2008年5月20日第1刷発行
(1) 藤川氏は、著書に「数学する教室」などがある、教育方法学が専門の千葉大学教育学部准教授で、文科省ネット安全安心全国推進会議委員などもつとめる。
(2) ケータイの現状を紹介して、規制だけでなくて、うまく使うことも想定しているる。特にフィルタリングの課題を整理して今後の改善を提言している。
(3) ケータイ関連の全体像をつかむのに、まとまった書籍として、お薦めです。

6 NTT出版 ケータイ・リテラシー 子どもたちの携帯電話・インターネットが危ない! 著者 下田博次 2004年12月24日初版第1刷発行
(1)下田氏は「NTTの挑戦」などの著書がある、コンピュータ・シンクタンク勤務を経て雑誌記者、フリーランス・ジャーナリスト。群馬大社会情報学部大学院研究科教授。1942年生まれ。早稲田大(商)卒。
(2) 子どもにケータイを与える親の意識と、子どもの意識とは大きなギャップがあり、とっても危険なとんでもないものだと、その実例を大量に記述する。子どもケータイやインターネット利用の問題に取り組むNPO団体「ねちずん村」の村長としてや大学などで得た各種反響なども記述する。あまり分析とか、だからどうしよう、という部分は見られない。リンクの記述が正確になっているのは、多分出版社のチェックによるものか。
(3) これは問題という程の本ではないように思われる。ただし、各種の実例の記述が多すぎてくどい。お薦めではないが、普通の本である。

7 東洋経済新報社 学校裏サイト ケータイ無法地帯から子どもを救う方法 著者 下田博次 2008年4月10日発行
(1) 前掲のケータイ・リテラシーと同じ。
(2) ネットやケータイを子どもが使う危険性を示す本とのことである。危険性の実例を多数示す。
(3) 「一定の解決策を示した」とあるが、あまり示していない。リンクを示さないなど、前著の出版社のときに正確だった書き方がとられていないのは、前の出版社がきちんと編集したおかげのようで、そのサポートがない今回は著者自身のリテラシーに欠ける点が出てしまったからかもしれない。お薦めしない本である。

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