世間は広い

今日はIDFの医療分科会に行ってきました。久し振りの三田でしたが、結構土曜日でも教室が使われていて、賑やかでした。かなり充実したシンポジウムでしたが、気になったのは次のことです。

事例紹介の一つに、医師が患者から直接小切手で支払いを受けていたが、病院が知らなかった、というのがありました。そんなことが成立するシステムなど、私には考え付かないのですが、常識が通用しない世間があるようです。こんなことが長続きする訳がない、と私なら思います。システムを作るときに、その問題点が分からない訳がなく、分かりながら設計したに違いなく、その理由は脱税が容易になることしか思いつきません。
以前に、カルテの電子化の議論があったのを思い出しました。病名の分類さえ、統一したものがない、というのです。そんなものが障害となって、電子化が進まないという話に私はびっくりしました。医学とは科学でなかったのかな。何通りもの解釈を許す分類を前提としたシステムも頑張れば何とかなると思いますけれど。ただひたすら、脱税を容易にする環境を守るために反対しているのでは、と疑うのは私一人でしょうか。
こんな世間の常識が何で報道に出てきていないのでしょう、不思議ですね。

あと、某先生がしきりにおっしゃっていたのが、医師の責任と権限でやれることが一杯あるから、システムも医師を特別扱いしてつくるべし、と。私にはよく分かりませんが、生命を守る責務上から特権があるかもしれませんが、そうだから医師が間違えないのを前提としたシステムを作る、という発想が私には理解できなかったですね。

中々、世間というか、世の中というか、広いです。私には分からないことが一杯あります。

でもね、やっぱり政府主導でこんなことが出来ないか、と思いました。カルテなど特別な情報だけを真正性など保証するのではなくて、日常普通に皆が使うメールやウェブ、これらをみんな署名付きに誘導するのです。何かのメールがあれば、間違いなく誰それが発したものと保証される世界を夢見るのは、望みすぎでしょうか。もちろん、匿名を保障する部分も置いておくのですが、それと実名の世界とは明確に区別しておくのです。知り合い同士のメールを匿名にしたい人はどれほど居ますかね。
その基盤として、住基カードを使えるものとします。これを全国民に無償で配布します。そのインフラは国の予算で、何年かおきの民間企業の入札により整備します。で、丸ごと、その民間企業が運営するのです。
今は、タイムスタンプなどを含めた民間の各種認証機関が規模のメリットが不足して苦戦中みたいですが、国内で1億人をサービスするなら、何億円で出来るでしょうね。直感的には、一人当たりにするとタダみたいなコストになると思います。国がやるべき仕事とは、まっさきにこのようなセキュリティ基盤ではないのかな。

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