国際音声記号 – Wikipedia国際音声記号(こくさいおんせいきごう、仏: Alphabet phonétique international(API)、英: International Phonetic Alphabet(IPA))は、あらゆる言語の音声を文字で表記すべく、国際音声学会(The International Phonetic Association (IPA) 、国際音声学協会ともいう)が定めた音声記号である。逐語的な和訳としては国際音標字母(こくさいおんぴょうじぼ)[1][2]であり、他にも国際音声字母(こくさいおんせいじぼ)、国際音標文字(こくさいおんぴょうもじ)とも言う。
用法
スラッシュ / / で挟んで書かれたIPAは、簡略表記(英: broad transcription)と呼ばれ、各言語・表記体系ごとに認知・区別される音素(phoneme)に基づく大まかな発音表記を意味する。発話において、ある単語の発音は前後の単語や方言によって変わる場合があるが、それが同じ音素の異音であるかぎりは、同じ単語として理解される。簡略表記では、異音は表記上区別されず、一つの音素と一つのIPA記号が対応する。その際使われる記号はIPAの部分集合となるが、補助記号のないラテン文字が優先して選ばれることが多い。
一方、角括弧 [ ] で挟んで書かれたIPAは、精密表記(英: narrow transcription)と呼ばれ、各言語・表記体系ごとの認知・区別事情を考慮せず、純粋に音声学(phonetics)に基づく、調音方法によって物理的に区別された詳細な発音表記を意味する。精密表記では、個々の言語音が、それが異音である場合も含めて、忠実に表記される[4]。
International Phonetic Association | ɪntəˈnæʃənəl fəˈnɛtɪk əsoʊsiˈeɪʃn
国際音声記号ガイドブック―国際音声学会案内 | 国際音声学会, 滋, 竹林, 孝夫, 神山 |本 | 通販 | Amazon国際音声記号(IPA)は19世紀末に国際音声学会が定めたもので、世界の言語の音声を表記するために1996年まで漸次改訂されてきた。本書は、50年ぶりに出た待望のIPA解説書の全訳で、音声学の基礎知識を交えつつ、音声記号の使用法を解説し、実例として29の具体的言語の事例を掲げる。付録には、IPAのコンピュータ・コード一覧表と障害音声用の「拡張IPA」を、また、日本語版付録には主要諸言語における綴りと発音の関係を収めた。
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音声学の復習【番外編】音声記号って覚えるの?~単語を音声表記できるメリットと音声記号の覚え方 – SenSee Media
五十音の音声表記
上記の表から、日本語に必要なものだけを載せると次のようになります。撥音「ン」の記号は載せていません。縦の調音法が2段になっているところは、上が無声音、下が有声音です。
両唇 歯茎 歯茎硬口蓋 硬口蓋 軟口蓋 声門
摩擦音 フ[ɸ] サスセソ[s]ザズゼゾ[z] シ[ɕ]ジ[ʑ] ※1 ヒ[ç] ハヘホ[h]
破擦音 ツ[ts]ザズゼゾ[dz] チ[tɕ]ジ[dʑ]※2
破裂音 パ行[p]バ行[b] タテト[t]ダデド[d] カ行[k]ガ行[g]
鼻音 マ行[m] ナヌネノ[n] ニ[ɲ] (ニ[ɲ]) カ゜行[ŋ]
はじき音 ラ行[ɾ]
半母音 ヤ行[j] ワ[ɰ]
1 語中のザ行の子音は摩擦音
2 「ン、ッ」の後、語頭のザ行の子音は破擦音
以下は、日本語の五十音の音声をIPAで表したものです。
あ a い i う ɯ え e お o きゃ kja きゅ kjɯ きょ kjo
か ka きkʲi く kɯ け ke こ ko ぎゃ gja ぎゅ gjɯ ぎょ gjo
さ sa しɕi す sɯ せ se そ so しゃ ɕa しゅ ɕɯ しょɕo
た ta ちtɕi つ tsɯ て te と to じゃ(d)ʑa じゅ(d)ʑɯ じょ(d)ʑo
な na にɲi ぬ nɯ ね ne の no ちゃ tɕa ちゅ tɕɯ ちょ tɕo
は ha ひçi ふ ɸɯ へ he ほ ho にゃ ɲa にゅ ɲɯ にょ ɲo
ま ma み mʲi む mɯ め me も mo ひゃ ça ひゅ çɯ ひょ ço
や ja ゆ jɯ よ jo びゃ bja びゅ bjɯ びょ bjo
ら ɾa り ɾʲi る ɾɯ れ ɾe ろ ɾo ぴゃ pja ぴゅ pjɯ ぴょ pjo
わ ɰa みゃ mja みゅmjɯ みょ mjo
が ga ぎ gʲi ぐ gɯ げ ge ご go りゃ ɾja りゅɾjɯ りょ ɾjo
ざ(d)za じ(d)ʑi ず(d)zɯ ぜ(d)ze ぞ(d)zo
だ da ぢ (d)ʑi づ (d)zɯ で de ど do
ば ba び bʲi ぶ bɯ べ be ぼ bo
ぱ pa ぴ pʲi ぷ pɯ ぺ pe ぽ po
特殊音素は以下の通りです。
撥音「ン」:[m][n][ɲ][ŋ][ɴ][Ṽ](こちらの記事をご覧ください。)
促音「ッ」: 後ろにある子音を2つ重ねる
長音「ー」: [:]
拗音の表の[j]が入っている段については、色々な表記の仕方があり、例えば、「ぴゃ、ぴゅ、ぴょ」だったら、[pja]のほかに、[pʲa]や[pʲja]などがあります。ここでは一般的な表記と言われる[pja]を使うことにします。(ヒューマンアカデミー、2021: 480)
音声学の復習⑤撥音「ン」の発音~能力試験合格を目指そう – SenSee Media音素:語の意味を区別する働きのある最小の単位
また、同じ音素に属している色々な音が、異音です。
撥音「ン」にいくつかの種類の音があると言いましたが、そのいくつかの音は「異音」ですね。撥音音素/N/の中に異音が6種類あります。
「ン」の識別:どの「ン」か考えてみよう
それでは、もう少し「ン」を含む言葉をみて見ましょう。以下の言葉の中の撥音「ン」は、6種類のうちのどれだと思いますか。
にほんしゅ(日本酒) たんぱつ(単発) あんず(杏子) はけん(派遣)
うんめい(運命) しんや(深夜) しんにゅう(侵入) かんじ(漢字)
たんか(単価) ライン せんご(戦後) しんらい(信頼)
答え
両唇: たんぱつ(単発) うんめい(運命)
歯茎: あんず(杏子) しんらい(信頼)
歯茎硬口蓋: しんにゅう(侵入) かんじ(漢字)
軟口蓋:たんか(単価) せんご(戦後)
口蓋垂:はけん(派遣) ライン
鼻母音:にほんしゅ(日本酒) しんや(深夜)