第1課題
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第1課題 戦後日本の漢字に関する国語施策の経緯について説明しなさい。
第1課題 (1)出題の意図
日本語の表記法である「漢字仮名交じり文」は、数ある言語の中でもユニークなものとして知られている。漢字と仮名という異質な文字を交ぜて使用しているところにその理由があるとされる。「漢字仮名交じり文」の中心は漢字であるが、これを巡っては特に幕末以来様々な議論が交わされてきた。1946年の「当用漢字表」は戦後日本の漢字表記の在り方に多大な影響を与えた最初の内閣告示である。その後、1981年「常用漢字表」、2010年改定「常用漢字表」と続き現在に至っている。この戦後の漢字を巡る国語施策の経緯を説明することが課題の趣旨である。1948年「当用漢字音訓表」と1949年「当用漢字字体表」は「当用漢字表」と深く関連するものであるが、前者は1973年に改定された。また、これらの漢字表と平行して「教育漢字」と「人名用漢字」の経緯も押さえる必要がある。
まず、文献Aは「常用漢字表」などの公的な資料がまとめられた資料集であるから、しっかりと読むこと。その際、文献Aの表紙裏にある「国語施策年表」(漢字関係)が、一連の流れを見るのに便利である。そして、文献Bの「Ⅰ 基本的な考え方」は現行の2010年「常用漢字表」を知る上で欠かせないものである。その上で、参考文献①阿辻哲次(2020)も参考になる。
なお、各漢字表に触れるにあたって、字の例を書くよう心がけること。どの字を取り上げるかにも、漢字表の理解が現れます。
(2)必読の文献
A:『新しい国語表記ハンドブック』(2018第8版、または2021第9版、三省堂)所収の「常用漢字表」「学年別漢字配当表」「人名用漢字別表」「(表紙裏の)国語施策年表」
B:文化審議会答申『改定常用漢字表』(Url, https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/sokai/sokai_10/pdf/kaitei_kanji_toushin.pdf)
(3)考察の条件
1981(昭和56)年「常用漢字表」と2010(平成22)年「常用漢字表」はタイトルが同じであるため注意すること。
<参考文献>
①阿辻哲次(2020)『戦後日本漢字史』ちくま学芸文庫
②日本語教育学会編(2005)『新版 日本語教育事典』大修館書店
③日本語学会編(2018)『日本語学大辞典』東京堂出版
[日本人の読み書き能力 | 日本語史研究資料 [国立国語研究所蔵]](https://dglb01.ninjal.ac.jp/ninjaldl/bunken.php?title=yomikaki)
[日本人の識字率が高いって本当ですか – ことばの疑問 – ことば研究館 | 国立国語研究所](https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-226/)
膨大な分析結果が1951年に報告書『日本人の読み書き能力』にまとめられ、東京大学出版部(東京大学出版会の前身)から公刊されました。その報告のなかで、特によく知られているのが1.7%または2.1%とされている非識字率(報告書では文盲率)の低さです。1.7%は「かなさえ正しく読み書きできない者」で90問全体がゼロ点だった人、2.1%は「かなはどうにか読み書きできるが、漢字はまったく読み書きできない者」を加えた数字です。
そのほか、報告書に明記されているのに、ほとんど知られていない事実もあります。たとえば、ゼロ点だった人はどのような解答パターンだったかについて、得点ゼロの人は293人で、そのうちの9割近い262人が白紙解答の人たちであったと報告されています。このことから、リテラシーがあったとしてもGHQに対する反発などから全問解答拒否をした人がいたとすれば、非識字者をゼロ点の人と定義するのは正しくないように思われます。一方で、ゼロ点ではない低得点者にも非識字者が含まれていた可能性があります。選択式が全体の7割を占めていたことをあわせて考えると、非識字率は報告書に示された数値より高いのではないかと推測できます。
報告書の結論「リテラシーは低い」
もう一つ見逃せない事実があります。報告書はリテラシーを持つ人を「90点満点の人」と定義し、報告書の結論として「提案」を明記しています。その要点は「非識字者の割合は極めて少ない。しかし、リテラシーを持つと見なせる識字者の割合は4.4%でしかない。不注意などによる失点を考慮して割合を補正したとしても6.2%にすぎない。正常な社会生活を営むのにどうしても必要な文字言語を理解する能力は決して高いとはいえない」というものです。「日本人の読み書き能力は極めて高く世界トップクラス」という「常識」の科学的根拠だと考えられてきた報告書を自分の眼で確認してみると、「常識」とはかけ離れた結論が示されていることがすぐに分かります。