災害危機管理ICTシンポジウム2010

災害危機管理ICTシンポジウム2010 --衛星・航空機による災害への対応ーー
NICT,次世代安心・安全ITCフォーラム 主催
2010年2月5日(金) パシフィコ横浜アネックスホール 10:00~16:30

1 あいさつ 熊谷理事 今回で3回目。防災減災ITCが継続テーマ。今回は衛星・航空機による災害への対応をテーマ。
2 来賓あいさつ 科学技術会議 奥村議員 自然災害は続いている。科学技術会議では、災害対応迅速化プロジェクト、実証実験を行う予定。技術進歩とともに、運用の進歩も期待。
3 衛星観測による降雨災害の予測 土木研究所 深見 発展途上国における降雨災害予測。事前の洪水予測。洪水は増加、予測、予報により災害は減らせられる。
 衛星から雨量観測、インターネットでデータ公開されている。うまく使うには、解像度、観測精度、配信遅れ(4時間遅れなど)に要注意。途上国では地上観測が不十分なので、それを補う意味がある。基盤ソフトのIFAS(総合洪水解析システム)を無料公開中。従来の衛星データは必ずしも正確ではなかった面があるが、それを補正するアイデアができ、精度は向上するので、予測に使える。普及活動もしている。(巨大な河川が対象)成功事例も、失敗事例も紹介。限界はあるが、地上観測と共同して予測に活用したい。とくにマイクロ波放射観測の頻度増大が期待される(小型衛星に期待)。
 衛星からのレーザーなどによる地形観測データの紹介。まだまだ。
3 高分解能SARによる災害観測 JAXA 島田 
 「だいち(ALOS)」。合成開口レーダー、天候に左右されず、昼夜無関係、地形変化量の抽出可能。 2006・1・24 打ち上げ。4TON、高度691.65km、46日(最小2日)で回帰。分解能荒い(23km)を処理して、5mが最高分解能)。次は合成開口レーダー専用で、分解能を10mから1X3m、46日から14日に、ALOS-2を設計中。要求から3時間以内に変化を抽出するのが目標。
4 消防庁消防研究センター 座間 NASA-SRTM3のDEMを使った地震被害推定 スペースシャトル飛行で得られる標高データSRTM-3 
 簡易型地震被害想定システムを1997年に作成。震源位置、深さ、マグニチュードを入力すると、数秒で被害想定が出る。要望の方には配布。国土数値情報1Kメッシュ、国勢調査データでの人口データ1Kメッシュを基に推定。
 地震被害は途上国に深刻であるが、基礎データが少ない。shuttle Radear topolography m 標高データで国土数値情報の地盤分類に換えるのがアイデア。中国四川地震で推定と実測を比較し、一部に見直す必要があるもの(段丘)はあるが、概ね有効。震度分布推定をほぼ即座に出せるのが大きな利点。
 質問 揺れの増幅度は硬さなどの内部構造からくるはずだが、地形でわかるのか? 回答 大雑把には大丈夫。
5 NICT 若菜 ETS-Vなど
 衛星移動通信 現在約8万加入。J-ALERT全国修辞警報システム、地域衛星通信ネットワークを使った。現在120台。
 きく8号 2006年打ち上げ、大型展開アンテナ。ETS-VIII。衛星携帯端末には搭載交換機による再生中継。
 きずな WINDS 超高速インターネット衛星 155Mbps 45cm小型アンテナ、1.2Gbpsビジネスユーズ(5Mパラボラ)。ATMスイッチ。2008年打ち上げ。
6 ヘリコプタ伝送による防災への取り組み 三菱 尾崎 
 ヘリサットシステム 現状はヘリー>地上で受けて衛星へ。防災ヘリテレは約半数以上31県市が保有。それをヘリから直接衛星で中継。準備作業不要が特徴。コスト面、高たん性に特徴あり。ブレードの回転にあわせて、間欠送信と複数受信を行う。H16年にMPEG4,384kbps。H18年にMPEG41.5Mbpsで実証実験。H21年からHD伝送6~10Mbpsの実用段階。Superbird B2衛星で。双方向音声通話。H.264、LDPC誤り訂正方式。小型軽量開口面アンテナ。小さなパラボラで、衛星を追尾するもの。ヘリテレの防振台がもう一つ上向きにせり出して付いたような形になる。総重量50kg。簡易着脱可。
 地図上に映像を張り付けてヘリ位置も表示などの工夫もしている。
 電気通信審議会情報通信技術分科会でH20.1に標準画質のヘリサットの技術的条件答申。HD画質の答申は予定。
 デモしてもらったHD映像は、パソコンの都合か、とても悪い画質で評価対象にはならないものであったが。
 今後は映像と記録との差分をとることも検討中。
7 パネルディスカッション
 衛星・航空機による災害への対応

私の感想 
なんだかね、研究開発衛星や超高速インターネット衛星の話で、実験して、開発するのは結構なのですが、実用と切り離されている感覚が付いて回り、むなしさが残りますね。
 その他の話は、いろんな形で防災に役立つ可能性を探る話ですから、頑張ってね、と応援したくなります。
 内閣府防災通信官 小林亘さん。こんな役職があったとは知らなかったよ。
・ オペレーションとしてのむつかしさ。3時間の要求条件(1月の中央防災会議の資料)、30分で参集し、1.5Hで資料を判断して、など。3時間以内に調査団が出発しないと遅いと非難される。阪神では9時間だった。
・ 事前にできること、洪水、地震のアセスメント、他にはなかろうか?  
・ 途上国で役立ててもらえるものに、衛星データの他にはなかろうか?
・ 情報の信頼性の問題。狼少年になりかねないが。 単純な判断ができない場合もある。遊水地へ流れるのを見て救援を求めるマスコミもある。
・ 非常用通信設備が、いざというとき役立たない、使えない、使いこなせない、というおそれはないか? 普段から使う。実際に使うこと。使ってカスタマイズできること。
  災害時だけに使えるものではなくて、普段から使えるもの。
・ まだ実績のない新しいものは、消防庁などで取り入れにくいかもしれないが。
・会場から ミクロな個人レベルの情報を集める視点が欠けてないか? 国の無駄がそこにあるのでは? 個人から

8 総務省川口総括審議官 あいさつ
 来年の地デジの後、VHFで高速防災通信が予定。
・ 情報の集約と活用、共有化をもっと期待。縦割り組織の弊害も。

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