五十音 – Wikipediaこの項目では、5×10の表について説明しています。辞書などにおける順序の規則については「五十音順」をご覧ください。
ひらがなとカタカナ別の五十音表の画像
五十音(ごじゅうおん)または五十音図(ごじゅうおんず)とは、日本語の仮名文字[注 1]を母音に基づき縦に五字、子音に基づき横に十字ずつ並べたもの。また北原白秋による詩『五十音』が存在するが、これについては後述する。
概説
日本語では単純母音が5つしかないこと、子音それぞれとの組み合わせがほぼ完全対応であることなどが、仮名および音素を理解する手段として五十音図をわかりやすく手軽なものにしている。しかし日本語の仮名、音素が文字通り50個である訳ではない。表上では欠落したり重複したりしている文字・音素がある。また五十音図は清音のみを示すが、他に濁音・半濁音・長音・促音・撥音・拗音、などがあり、発音の総数は100以上ある。
元来、漢字の音を示す手段である反切を説明するものとして考案されたものとされるが[1]、その子音と母音を分析的に配した体系性が、後には日本語の文字を体系的に学習するのにも利用されるなど様々な用途を生んだ。
日本語の清音を母音と子音とで分類し、それに従い仮名文字を縦横の表に並べたものである。伝統的には、縦書き文の要領で、縦に母音の変化、横に子音の変化を表現する。横一列は母音がそろっており、これらをあ段、い段、う段、え段、お段といい、縦一行は子音がそろっており、これらをあ行、か行、さ行、た行、な行、は行、ま行、や行、ら行、わ行という。五十音図において「ん」はいずれの行、段にも属するものではないが、今日ではわ行の次に置かれる事が普通である。
日本において1946年に現代仮名使いが導入されてからは、ヤ行のイ段・エ段、ワ行のイ・ウ・エ段は、同じ段の「い」「う」「え」を置くか、空白とする。それ以前は、ワ行のイ段、エ段は、「ゐ」、「ゑ」が置かれた。
子音が不揃いになっている部分があるが、上代日本語においてはより整然とした体系をもっていたと推測される。すなわち、「ち」と「つ」は現在の「ティ」と「トゥ」、現在では音素がズレている「ふ」を含めたハ行は現在のパ行、ヤ行はイ段、ワ行はウ段を除いて、おのおのy、wの子音であったとされる。
五十音順は、この表では右から左に、上から下へ「あ」「い」「う」「え」「お」「か」「き」「く」「け」「こ」「さ」… と続く。
五十音
わ行 ら行 や行 ま行 は行 な行 た行 さ行 か行 あ行
(ん、ン)
/n/
[N][n][m][ŋ][ɲ]
ほか鼻母音など わ、ワ
/wa/
[β̞ä] ら、ラ
/ra/
[ɺä] や、ヤ
/ya/
[jä] ま、マ
/ma/
[mä] は、ハ
/ha/
[hä] な、ナ
/na/
[nä] た、タ
/ta/
[tä] さ、サ
/sa/
[sä] か、カ
/ka/
[kä] あ、ア
/a/
[ä] あ段
ゐ、ヰ
/wi/
[i] り、リ
/ri/
[ɺʲi] (Hiragana I 01.svg)、(Katakana Yi 1.png)
/yi/
[i]
み、ミ
/mi/
[mʲi] ひ、ヒ
/hi/
[çi] に、ニ
/ni/
[nʲi] ち、チ
/ci/
[t͡ɕi] し、シ
/si/
[ɕi] き、キ
/ki/
[kʲi] い、イ
/i/
[i] い段
(Hiragana WU 2.png)、(Katakana Wu Proposal.png)
/wu/
[ɯ̹]
る、ル
/ru/
[ɺɯ̹] ゆ、ユ
/yu/
[jɯ̹] む、ム
/mu/
[mɯ̹] ふ、フ
/hu/
[ɸɯ̹] ぬ、ヌ
/nu/
[nɯ̹] つ、ツ
/cu/
[t͡sɯ̹̈] す、ス
/su/
[sɯ̹̈] く、ク
/ku/
[kɯ̹] う、ウ
/u/
[ɯ̹] う段
ゑ、ヱ
/we/
[e̞] れ、レ
/re/
[ɺe̞] (Hiragana E 01.svg)、(Katakana obsolete ye.svg)
/ye/
[e̞] め、メ
/me/
[me̞] へ、ヘ
/he/
[he̞] ね、ネ
/ne/
[ne̞] て、テ
/te/
[te̞] せ、セ
/se/
[se̞] け、ケ
/ke/
[ke̞] え、エ
/e/
[e̞] え段
を、ヲ
/wo/
[o̞] 昔は[β̞o̞] ろ、ロ
/ro/
[ɺo̞] よ、ヨ
/yo/
[jo̞] も、モ
/mo/
[mo̞] ほ、ホ
/ho/
[ho̞] の、ノ
/no/
[no̞] と、ト
/to/
[to̞] そ、ソ
/so/
[so̞] こ、コ
/ko/
[ko̞] お、オ
/o/
[o̞] お段
日本語/非母語話者むけ/五十音図 – Wikibooks
五十音図
清音・撥音 拗音
あ ア い イ う ウ え エ お オ (ゃ) (ャ) (ゅ) (ュ) (ょ) (ョ)
a [a] i [i] u [ɯ] e [e] o [o] (ya) [ja] (yu) [jɯ] (yo) [jo]
か カ き キ く ク け ケ こ コ きゃ キャ きゅ キュ きょ キョ
ka [ka] ki [kʲi] ku [kɯ] ke [ke] ko [ko] kya [kʲa] kyu [kʲɯ] kyo [kʲo]
さ サ し シ す ス せ セ そ ソ しゃ シャ しゅ シュ しょ ショ
sa [sa] si [ʃi] su [sɯ] se [se] so [so] sya [ʃa] syu [ʃɯ] syo [ʃo]
た タ ち チ つ ツ て テ と ト ちゃ チャ ちゅ チュ ちょ チョ
ta [ta] ti [tʃi] tu [tsɯ] te [te] to [to] tya [tʃa] tyu [tʃɯ] tyo [tʃo]
な ナ に ニ ぬ ヌ ね ネ の ノ にゃ ニャ にゅ ニュ にょ ニョ
na [na] ni [ɲi] nu [nɯ] ne [ne] no [no] nya [ɲa] nyu [ɲɯ] nyo [ɲo]
は ハ ひ ヒ ふ フ へ ヘ ほ ホ ひゃ ヒャ ひゅ ヒュ ひょ ヒョ
ha [ha] hi [çʲi] hu [ɸɯ] he [he] ho [ho] hya [ça] hyu [çɯ] hyo [ço]
ま マ み ミ む ム め メ も モ みゃ ミャ みゅ ミュ みょ ミョ
ma [ma] mi [mʲi] mu [mɯ] me [me] mo [mo] mya [mʲa] myu [mʲɯ] myo [mʲo]
や ヤ ゆ ユ よ ヨ
ya [ja] yu [jɯ] yo [jo]
ら ラ り リ る ル れ レ ろ ロ りゃ リャ りゅ リュ りょ リョ
ra [ɾa] ri [ɾʲi] ru [ɾɯ] re [ɾe] ro [ɾo] rya [ɾʲa] ryu [ɾʲɯ] ryo [ɾʲo]
わ ワ ゐ ヰ ゑ ヱ を ヲ
wa [β̞a] i [i] e [e] o [o]
ん ン
n /N/
濁音 拗濁音
が ガ ぎ ギ ぐ グ げ ゲ ご ゴ ぎゃ ギャ ぎゅ ギュ ぎょ ギョ
ga [ɡa] gi [ɡʲi] gu [ɡɯ] ge [ɡe] go [ɡo] gya [ɡʲa] gyu [ɡʲɯ] gyo [ɡʲo]
ざ ザ じ ジ ず ズ ぜ ゼ ぞ ゾ じゃ ジャ じゅ ジュ じょ ジョ
za [dza] zi [ʤi] zu [dzɯ] ze [dze] zo [dzo] zya [ʤa] zyu [ʤɯ] zyo [ʤo]
だ ダ ぢ ヂ づ ヅ で デ ど ド ぢゃ ヂャ ぢゅ ヂュ ぢょ ヂョ
da [da] di [ʤi] du [dzɯ] de [de] do [do] dya [ʤa] dyu [ʤɯ] dyo [ʤo]
ば バ び ビ ぶ ブ べ ベ ぼ ボ びゃ ビャ びゅ ビュ びょ ビョ
ba [ba] bi [bʲi] bu [bɯ] be [be] bo [bo] bya [bʲa] byu [bʲɯ] byo [bʲo]
半濁音 拗半濁音
ぱ パ ぴ ピ ぷ プ ぺ ペ ぽ ポ ぴゃ ピャ ぴゅ ピュ ぴょ ピョ
pa [pa] pi [pʲi] pu [pɯ] pe [pe] po [po] pya [pʲa] pyu [pʲɯ] pyo [pʲo]
註
上段は平仮名、片仮名、下段はローマ字(訓令式)、発音
灰色の箇所は現代仮名遣いでは原則として使われず、一部の固有名詞に限られる。
発音は大辞林特別ページを参考に、国際音声字母で表記した。ただし、「ん」は後続音等によって変化するので音素表記とした。
その他の文字
ー
長音を表す
音素表記は/R/、国際音声記号は[ː]
例:ピース
っ
促音を表す
平仮名は「っ」、片仮名は「ッ」
音素記号は/Q/
例:さっか